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Vリーグ男女優勝チーム、強さの源。
パナソニックと久光製薬の共通点。
posted2018/04/03 10:30
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Kyodo News
2017/18V・プレミアリーグは、男子はパナソニックパンサーズ、女子は久光製薬スプリングスの優勝で幕を閉じた。
両チームとも日本代表経験者が多く、選手層の厚さはリーグ随一だが、その他にも共通点が多い。
1つは、徹底したデータ収集と、そのデータを活かした駆け引きのうまさである。
パナソニックは、ブラジル出身のモッタ・パエス・マウリシオコーチのデータをフルに活かした戦術、特にサーブを含めたトータルディフェンスが今シーズンはまった。
サーブに関しては、個々のサーブにバリエーションを増やしたり、狙いどころを明確にして攻め、昨季7位だったサーブ効果率が今季は1位になった。
ディフェンスでは、リベロ永野健のディグ力を最大限に活かすシフト、つまり相手がスパイクを打ってくる確率の高いコースにできる限り永野を配置した。
通常、バックライトの守備にはセッターかオポジットの選手が入るが、今季のパナソニックは、セッターの深津英臣が前衛にいる時には、リベロの永野がバックライトに入り、身長が低い深津のブロックの上から攻めてくるスパイクに対応した。また永野がバックライトにいることで、相手の外国人オポジットの強力なクロススパイクも数多く拾えた。
データミーティングでの効果的な助言。
また、豊田合成トレフェルサとのファイナル第2戦ではデータの裏をかく駆け引きのうまさも見せた。深津は第1セットから、サーブを打つ際に相手コートのレフト側にいる白岩直也を狙っていた。
それに対し、豊田合成のサーブレシーブ陣はレフト側に寄って対応していたのだが、2セットを奪われ後がなくなった第4セットの23-23の場面で、深津はその逆をつき、大きく空いたライト側にサーブを打ち込んだ。
コートの後方にいたオポジットの椿山竜介が返したもののボールはネットを越え、パナソニックはそのチャンスを逃さず24-23と逆転。この1点が流れを変え、デュースの末にこのセットを取ったパナソニックが、第5セットも制して優勝を手にした。
豊田合成のリベロ古賀幸一郎は、「サーブレシーブでいろいろと駆け引きをしていますが、あそこでは裏目に出た。駆け引きの部分でもう少しスマートにプレーできれば、もしかしたら違う結果になったかもしれない」と悔やんだ。
深津は、「以前からマウリシオコーチにはデータミーティングの時に、『いつかやってやれ。絶対に効くぞ』と言われていた。僕自身も、『古賀さんがカバーに行ってるからこっちが空いてるな』とわかっていたし、頭の中ではずっとイメージできていて、まっすぐを向きながらそっち側に打つ練習もしていました。それをあの場面で出すことができてよかった」と会心の笑みを見せた。