ミックスゾーンの行間BACK NUMBER
悩める日本代表にPDCAサイクルを。
原口が、大迫が、本田が鳴らす警鐘。
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph byGetty Images
posted2018/03/27 11:30
停滞感が漂う日本代表。戦術や戦略を定める際のプロセスに着目してもいいのではないか。
ピッチの選手は改善策を打ち出せたか?
原口は常日頃から「このチームは、何より守備なんです」と話している。今回もこう考えていた。
「1枚、1枚剥がされていましたが、例えば引いて守りながら2人で囲む。そこで奪えれば、必然的に攻撃で良い部分が出る。ちゃんと守れれば(最善の戦いは)できると思います。ただ、マリ戦みたいに剥がされ続けるとやっぱり厳しい」
ではピッチに立っていた選手は、そうした改善策を試合中に打ち出せなかったのだろうか?
実は直近の試合で、日本は似た過程を経験している。
昨年11月の欧州遠征。初戦でブラジル相手に完敗を喫した試合でも、日本のプレッシングは中途半端になり、歴戦のテクニシャンたちにマークを剥がされた。
試合を終えた選手は統制のない守備に危機感を覚え、吉田麻也を中心とした守備陣がディスカッションした。その後、吉田はハリルホジッチ監督に直接対話を申し出て、選手側の考えを進言した。
そして次のベルギー戦、日本はボールの奪いどころを限定しつつも、しっかりと堅陣を築いた。つまりブラジル戦よりも自主的にプレーラインは下げたものの、コンパクトな陣形を崩すことなくボールサイドに迫る修正が実現した。
ブラジル、ベルギー戦で経験したはずが。
ブラジル戦からベルギー戦までの流れは、まさにPDCAサイクルそのものだった。
強豪相手に腕試しとなった連戦、ブラジル相手に自分たちが計画立てた戦い方があり、実行したがそれがハマらなかった。ただすぐにベルギー戦に向けて改善作業を行ない、再実行に移す。この試合も0-1で敗れたものの、「チーム全体の守備意識は、かなり組織的に改善できた」(槙野智章)と多くの選手が手応えを口にしていた。
PDCAの循環は、何も短期的に実行するだけのものではない。個人も組織も、中長期的にこのサイクルを軸に事を進めることで、成長につながっていく。
ただマリ戦でのハリルジャパンは、昨年11月に経験したはずのサイクルを生かせなかった。