福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
福西崇史が日本代表の問題点を指摘。
レベルの差を認めて、できることを。
posted2018/03/26 12:30
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph by
Getty Images
このままだとW杯は厳しい。マリ戦を見る限りの正直な印象です。なおかつ同じ日に行われた親善試合で、グループリーグ初戦で戦うコロンビアはフランスに打ち合いで勝っています(3-2)。現段階で彼らとはかなりレベルが違う、と言わざるを得ない。
ではその状況で、日本は何を意識する必要があるか、考えてみましょう。
マリ戦は仮想セネガルという立ち位置で臨みましたが、チーム全体で考えるとプラスになった点は少ないです。現状では攻守ともに90分間ずっと意思統一ができなければ苦しい。それがはっきりしたのは間違いないですが……。
今回の試合、アフリカ勢との身体能力の差はやはり痛感するところでした。例えばマリの選手に寄せたはずなのに、抜かれた場面が何回かありました。日本の選手たちは“いつもなら体を当ててボールを取れている”という感覚だったはずです。
でもそこでスルッと抜かれたりするのに対応できず、挟み込んだはずでもかわされてしまった。今回のマリより、本大会で対戦するセネガルの方がレベルが高い。そう考えると、決して楽観的になれませんよね。
前線にかかる守備の負担がとても大きい。
1対1の場面だけでなく、自分たちが試合を優位に運ぶためのディフェンスができていたか、そう考えた時にも少し単調になった印象です。
日本のコンセプトとして、積極的に前からプレスをかける、高い最終ラインを保つというのがあります。実際マリ戦でもセンターバックの槙野や昌子が積極的にインターセプトを狙ってボールを奪える場面はあったし、その意識自体は継続していくべき、と思います。
ただ同時に、前線の選手にかかる負担がとても大きいことも見逃せない。相手最終ラインにプレッシャーをかけるために、ボールを追い続けてましたからね。
もちろん今のサッカーでは、アタッカーにも高い守備意識が求められます。ただパワーを守備に使いすぎてしまえば、攻撃に人数をかけられず、フィニッシュの局面で力を出し切れなくなる。これでは攻守一体とは言えないですよね。