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本田圭佑も雇う「専属戦術分析官」。
Jリーガーが活用する助言の中身。
posted2018/03/14 17:00
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph by
Yoichi Igawa
フットボーラーが個人的に戦術分析者を雇う時代になりつつあるのか──。
例えば、本田圭佑は昨年7月にメキシコのパチューカへ移籍した際、バルセロナのスクールコーチやスペイン4部チームの指導経験を持つ「専属分析官」と共に新天地へ向かった。それは驚きと敬意をもって伝えられた。
昨今、多くのフットボールクラブには、様々なスタッツや映像をもとに選手やチームを分析する担当者がいるものの、ひとりのプロフットボーラーが個別で戦術アナリストと契約するのは稀なケースと言えたからだ。
だが実際は身近なJリーグにも、数字とビデオを駆使するエキスパートの助言を受けている選手がいた。
昨季まで横浜F・マリノスでプレーし、オフに浦和レッズへ移籍したクエンテン・マルティノスには、昨季からオランダ人の戦術分析担当者がついている。
彼のアナリストを務めるローラン・フリーリンク氏は現在、クライアントのプレーを観るために来日している。Jリーグの試合会場で見かけた彼に声をかけてみた。気になることをたくさん抱えて。
数人の指導陣に数十人の選手は無理だ。
「すべてのフットボール選手には、パフォーマンス向上のために戦術の知識と理解力を上げる余地がある」
これはフリーリンク氏が運営する会社、その名も『Your Tactical Analyst』(https://yourtacticalanalyst.com/)のウェブサイトに掲げられている文言だ。それはまた、彼がこの仕事を始めた理由でもあるという。
「チームには監督とコーチに加え、戦術アナリストを揃えているところも多いが、全員を細かく見ることはできない。指導陣は数人だが、選手は数十人。物理的に無理なんだ。選手が自身を向上させたいと考えた時、個別の戦術的なアドバイスはとても有効だと確信している」