“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
17歳CBは予定通りのJ1デビュー!?
名古屋・菅原由勢は何者なのか。
posted2018/03/14 17:30
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
「とても17歳には見えない」
名古屋グランパスで開幕戦スタメンフル出場を果たし、それ以降もリーグ戦3試合連続でスタメンフル出場を続けるCB菅原由勢(ゆきなり)。4月から高3に進級する17歳を見て、報道陣の大勢が異口同音にこうつぶやいた。
無理もないだろう。最初に彼に取材をしたときは筆者も「本当に15歳なのか?」と思ったくらいだ。
そう思わせる要素は彼のクレバーなプレーはもちろんのこと、その言動にあった。
試合後などに話を聞くと、その選手のコミュニケーション能力やフットボールインテリジェンス、そして自己洞察能力の有無など、どんな能力が優れているかを把握することができる。特に若い選手であればあるほど、その特徴は顕著に表れるものだ。菅原と話をした時、すぐにあらゆる面での能力が高いレベルで備わっていることが感じられた。
「この選手に聞いておけば今日の試合のピッチ上で何が起こっていたのか全体を理解することができる」という選手はプロでもそう多くないが、彼は15歳にして、そんな話ができる希有な選手だった。
応援する人たちや取材陣にまで気配りする選手!?
過去の菅原への取材の中で「本当にこの年齢の選手なのか?」と驚かされた会話を、いまでも2つ覚えている。
2016年6月に鳥取で開催されたインターナショナルドリームカップの初戦・ハンガリー戦後のことだった。
その年9月のAFC U-16選手権(U-17W杯アジア最終予選)が迫っている時期ということもあって、話題は開催地インドの劣悪な環境の話になった。5月に行ったインドでのシミュレーション合宿について、菅原はこう説明してくれたのだ。
「(インドは)本当に蒸し暑かったです。寝るときは涼しかったのですが、練習する朝10時頃になると、5分に1回は水を摂らないと倒れちゃうような状況でした。でも、代表はどんな環境でも自分のプレーを出さなきゃいけないですし、サッカーをやる僕らからするとインドの気候でも仕方が無いと思うのですが、記者さんたちだったり、応援しに来てくれる人たちはかなり厳しいんじゃないかな、と思います」
インドの環境の過酷さを語っただけでなく、インドへ取材に来る家族やサポーター、メディアにも配慮するコメントを出してきたのだ。
筆者が驚いて、「そこまで周りに気を使ってるの?」と聞くと、「『仕事』だと言っても、きっと凄く大変だと思いますから」と笑顔で答えた。