炎の一筆入魂BACK NUMBER
タナキクマルがいれば広島は安泰。
28歳の3人は若手の最高の教材だ。
posted2018/03/06 07:00
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
Kyodo News
広島春季キャンプを見ていて、ふと中学時代の理科の授業で教わった「3点支持」を思い出した。
「物体を安定させるには、最低3点以上必要である」
新シーズンへ向けて他球団の新戦力情報が連日のように流れてくる中、広島の一軍キャンプに参加している新戦力は新外国人のレオネル・カンポス1人。見た目に分かりやすい戦力の上積みはほぼない。
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それでも春季キャンプで不安を感じさせなかったのは、今やチームの顔となった田中広輔、菊池涼介、丸佳浩のタナキクマルの存在にあったように感じる。上積みがなくても、チームに根付いた高い競争意識が雰囲気をつくっていた。
丸が右肩の可動域の影響でスローイングを要するメニューから外れ、菊池もキャンプ終盤に首の張りから数日別メニューになることもあった。万全ではなかったものの、当然のように彼らは全体練習のメニューに組み込まれていた。
早出や居残りでの練習が免除になることはあるが、それでも彼らは自主的に動く。若手が居残り練習する間、使っていない施設を使って打ち込む姿が見られた。
彼らは当たり前のようにグラウンドで駆け回り、当たり前のように結果を残してきた。決して手を抜かず、違いを見せた。
広島は3人を特別扱いしない。
主力選手が全体メニューから外れ、限られたメニューに参加しながら、自分のペースで仕上げていくことも珍しくはない。
ただ、広島では攻守の要である彼ら3人に、他球団で見られるような特別扱いはない。
「当たり前のことをやっているだけですよ。まだ若いですし、やらないといけない時期ですから」と丸は言う。3人は同学年の28歳(菊池は3月に誕生日を迎える)。若くして主力になった好影響とも言える。
ただそれは同時に、巨大な重圧を背負うことも意味する。