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寒いと運動能力は落ちる……のか?
冬季競技の選手が戦う過酷な環境。
text by
増田晶文Masafumi Masuda
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2018/02/26 08:00
-15℃での開幕式という寒さが話題になったが、その寒さに適応するのも勝負のうちなのだろう。冬季のアスリートは過酷だ。
野球が夏なのは、実は楽だから?
小学4年から大学4年まで、勉強もせず、ひたすらバスケばっかやってた、ウチの息子も申しております。
「夏に試合なんかしたら、発汗と体力消耗で1ピリオドの10分だけで全員ダウンする。オヤジなら試合開始3分で悶死しちゃうよ」
ううむ、確かにそうかもしれない。
話はどんどん脇道にそれていくのだが、夏のボールゲームといえば野球がある。これについて、同じく吉田一郎トレーナーのお言葉を――。彼は元ロッテのトレーナー、伊良部秀輝がメジャーリーグで活躍した時のパーソナルトレーナーでもあった。
「野球とラグビーやサッカー、バスケの運動量を比べたら、バカらしいほどの大差があります。野球の外野手なんて、ヘタしたら守備の間ほとんどカロリーを消費していません。それにプロ野球はナイター主体ですから、直射日光が避けられる。ドーム球場ならエアコンも効いています」
炎天下で行われる高校野球は、ようやく選手の健康管理にうるさくなった。これは当然の流れといえよう。
ただ、知人の元高校球児はいっていた。
「ベンチに戻れば椅子に座れるし、アンダーシャツを着替えられる。水は飲めるし、ベンチ裏で食べ物を摘まむこともあるから、かなり体力がリカバリーできます。それに、暑いといっても守備時間は長くて20分くらい。投手が好投すれば10分ちょいで交代ですから、そんなにしんどくないんです」
冬季競技の運動強度は軒並み高い!
国立健康・栄養研究所の発表によれば、野球の運動強度(METs)は5.0。一方、トップアスリートによる冬季スポーツの場合、スピードスケートの13.3やマラソンの13.3を筆頭に、クロスカントリースキーも12.5とハイスコア。ボールゲームだとサッカーが10.0、ラグビー8.3、バスケやアメフトが8.0と続く。
レジャーレベルのスキーやスケートでも7.0で野球よりだいぶ高い。
やはりウインタースポーツはかなりキツい。発想をかえれば、だからこそ冬に行うということにもなりそうだ。
※METs=Metabolic equivalentsの略。安静時を1METsとし、運動を行った際に安静時の何倍のエネルギー(カロリー)消費をしているかを表す。安静時を1METsとする。