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『ボウリングの社会学〈スポーツ〉と〈レジャー〉の狭間で』ボウリングの戦後史を辿りつつ、日本社会の変遷を映し出す力作。
text by
サンキュータツオ
photograph bySports Graphic Number
posted2018/02/27 16:00
『ボウリングの社会学〈スポーツ〉と〈レジャー〉の狭間で』笹生心太著 青弓社 1600円+税
地方の公演に出かけた時、一次会が終わって軽く酒の入った芸人仲間のマキタスポーツが、「ボウリングやろうぜ。ねえ、ボウリングいかない?」とその場に居合わせた人達に呼びかけた。マジかよと思ったのだが、数年ぶりにボウリングに行ってみると、楽しかった。スコアも見やすいし快適だし、適度に身体も動かせて、ストライクが出ればみんなで喜び、カラオケに行くよりも一体感が持てたし、会話もできる。満腹状態も解消できた。酔っぱらってから行く場所、ボウリング。果たしてこれはスポーツなのだろうか。
思えば、ボウリングについて「真剣に」考えたことがない。「真剣に」と強調したのは、学校教育で習ったものでもないし、区や市の体育館を借りてやったりするものでもないからだ。つまり、気楽なのだ。