話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
セレッソの完成形にどう入り込む?
高木俊幸と田中亜土夢の“勝算”。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO
posted2018/02/09 11:30
田中亜土夢は昨年、ヘルシンキでは優勝に貢献した。CLプレーオフがある中でのセレッソ移籍、決意は固いはずだ。
レッズとセレッソの守備発想の違い。
監督からの指示は厳しいが、高木は守備面におけるセレッソ独特のやり方を見て、このチームの失点が少ない理由がよく分かったという。
「守備面の規律とか、献身性、ハードワークはレッズでも同じですし、セレッソでも当然求められています。それはいいチームでは当然のこと。ただ、守備のやり方はだいぶ違いますね。レッズではボールを奪われて切り替わった瞬間、取りに行ける状況ならすぐに取りに行くんですが、セレッソでは一度帰陣するというか、1回自分のポジションにしっかりと戻って相手を来させないようにして、そこからプレッシャーをかけていくんです。
真ん中からやられないようにポジショニングについてすごく言われるし、そこをみんな意識して守っている。全体的に穴が少ないですし、球際も厳しい。それらが徹底されているんで失点が少ないんだと思います」
守備面での約束事がしっかりとあり、それを選手が順守している一方、攻撃面については逆に制約がなく、自由にやれているという。
「攻撃はレッズと違って固定された形はないですね。個人の判断で自由にできるので、自分はどんどん仕掛けてアピールができる。ただ個人の特徴がより生かされるので、お互いのことを理解しないとうまく合わない。
そう言う意味では少し時間も必要ですけど、みんなすごくうまいので自分に合わせてくれるんですよ。自分がこうしなきゃいけないとか深く考えることもなく、自分の特徴をすでに理解してもらっているので、やりやすいですし、やっていて楽しいです」
競争相手は監督の右腕に、日本代表。
レッズ時代よりも、高木の良さが活きているのは間違いない。
「仕掛けの部分で期待している」と監督にも言われたそうだが、練習や練習試合でも高木は臆することなく自分の持ち味を出している。
だが、レギュラー争いは本当に熾烈だ。高木が争うサイドハーフのポジションは、ユン・ジョンファン監督の右腕である水沼宏太、清武弘嗣ら強力なメンバーが揃っている。今回、新たに移籍してきた田中もライバルになる。勝算はあるのだろうか。
「セレッソは僕ら世代が多く、感覚も近いんでやりやすいですし、みんなうまいですが、その中でレギュラーを取る自信はあります。あるからセレッソに来ました。2列目には自分みたいに仕掛けるタイプがいないので、絶対にチャンスはある。そこでしっかりと結果を残して、ポジションを奪っていきたいと思います」
練習試合では動きの良さを見せ、ユン・ジョンファン監督からは「特別なアクセントになっている」と高い評価を受けた。チャンスは早々にやってくるだろう。そのチャンスをしっかりとモノにできれば攻撃陣のヒエラルキーを変えることは十分可能だ。