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長谷部誠は毎日が日本人の新記録。
欧州の1部で10年、キャプテンも板に。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byGetty Images
posted2018/01/31 07:00
チームにおけるキャプテンマークは、周りが考えるよりも重たいものである。そして長谷部ほど似合う男もそういない。
「ニコがリベロというポジションを見つけてくれた」
古巣相手の勝利について問われた長谷部は、「自分にとって、ここは特別な場所ですけど、もう6年、7年経っているので……」とさらりと答えた。
ヴォルフスブルクを去ってニュルンベルクに移籍したのは'13-'14シーズンのことで、実際は4年半しか経っていない。にもかかわらず、昔のことのように感じるのは、フランクフルトでの時間が充実しているからだろう。
「ヴォルフスブルクのときは、試合に出ていてもサイドでの起用が多かった。当時は豊富な資金力でいい選手を獲得していたこともあり、ポジション争いに勝てなかった。でもニュルンベルクでも、フランクフルトでも真ん中で勝負して、ポジションを獲れるようになった。ブンデスリーガでそのポジションができるということを、自分のなかでつかめたのは大きい。
それを示すことで、チームメイトからの信頼も感じている。ニコ(・コバチ)が監督になってからは、リベロというポジションを見つけてくれた。そこでも僕自身の価値をさらに示すことができていると思う。
年齢的にこれからどうなるかわからないですけど、30歳を超えて、また新しい発見というのがあるし、これからもそういうのを求めていきたい」
長谷部の強みはフォーメーションの自由度。
実はフランクフルトでも、ポジション争いが続いているのも事実だ。リベロだけではなく、ボランチ起用の時期もあったのは、その競争の厳しさを物語っている。
「1試合1試合結果を残していかないと、すぐに外されてしまう競争の激しい状況。ダビドは、ディフェンスラインのリーダーでもあるし、前半戦リベロですごくいいプレーをしていた。彼が戻ってきたときに、監督が少し困るような状況にしたいと思っている。
まあ、ダビドは右も左も真ん中もできるから、誰が直接のライバルという意識はない。僕はボランチでも出られるし。自分の強みはリベロで出ても、試合の中でボランチの位置に入り、フレキシブルにフォーメーションを変えられるところにあると思っている。攻撃を作ることもそうだし、そういう自分をどんどん出していくだけですね」