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長谷部誠は毎日が日本人の新記録。
欧州の1部で10年、キャプテンも板に。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byGetty Images
posted2018/01/31 07:00
チームにおけるキャプテンマークは、周りが考えるよりも重たいものである。そして長谷部ほど似合う男もそういない。
10年前は孤軍奮闘、今は完全なリーダー。
キャプテンマークを巻いた長谷部は、試合が止まると周囲の選手と必ず言葉を交わす。チームメイトが審判ともめていれば、すぐに間に入り、仲裁する。10年前は孤軍奮闘という印象が強かったが、今はまさに軸であり、リーダーとしてその場所に立っていた。
「10年経って、11年目に入って、長い間ドイツにいるなという風には感じます。でもフランクフルトへ来てから、本当にブンデスリーガでやれているなという感覚がある。間違いなく、選手としてもひとりの人間としても成長できている。自分がキャプテンをやって、なかなか勝った記憶がないので、その嬉しさもありますね、今日は」
1月26日、ホームにボルシアMGを迎えた一戦は2-0の完封勝利。この日もリベロ、キャプテンとして先発した長谷部は、フランクフルトでのリーグ戦100試合出場を記録した。
後半戦3試合を2勝1分としたフランクフルトは、暫定ながら2位に浮上(その後すべての試合が終わり4位に)。得失点差も+6点までこぎつけた。長谷部のリベロ起用で、強さを発揮できるようになったとも言える。
CLやELで彼のリベロを見てみたい。
「後ろの選手としては、ゼロで抑えられたのは非常にうれしい。確かに押し込まれた時間帯もあったけれど、後半戦の最初の試合はCKで、次は直接FKでの失点。流れから失点していないことは自信を持っていたので、この状況はポジティブに考えている。
危ない場面を作られないのは、前線からの守備がはまっているから。チームとしてしっかりやれている手ごたえはある。まあ自分が出ている意味というのは、守備の部分だけじゃなくて、攻撃を組み立てるところやチームを落ち着かせるところとかだと思う。今も悪くはないけれど、さらによくできると思いますね」
右ひざの痛みも今はほとんどない。今年の夏で切れる契約について、クラブとの話し合いはまだ持たれていないが、CLやELで彼のリベロを見てみたい。それはきっと、長谷部自身も同じだろう。
しかし、もしもクラブが欧州カップ戦の出場を逃したら、レギュラーポジションを奪われたら、契約の延長すら困難になるかもしれない。彼はそういう年齢なのだ。シビアな世界で10年も生きてきたからこそ、長谷部にも自覚はあるに違いない。