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欧州サッカーで指導者改革が進行中。
藤田俊哉「日本もS級の枠を拡大」

posted2018/02/01 11:30

 
欧州サッカーで指導者改革が進行中。藤田俊哉「日本もS級の枠を拡大」<Number Web> photograph by Toshiya Fujita

リーズの現場レベルでも多士済々な指導者がそろう。その中で若手指導者が出てくるのも欧州サッカーならではの面白さだ。

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藤田俊哉

藤田俊哉Toshiya Fujita

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Toshiya Fujita

 ドイツ・ブンデスリーガで台頭する30代の若手監督に注目が集まっている。トップリーグでのプレー経験がない彼らを揶揄して、「ラップトップ監督」とも呼ぶ声もあったが、結果を残して評価を上げた。

 若くして指導者の道に進み、アカデミーなどで実績を積んできた彼らにチャンスを与えようと始まったこの潮流は、新世代の監督たちが持つイノベーションへの貧欲さに目をつけたものだ。彼らがトライできる環境を作るべきだという判断だった。

 それによって多くの若手指導者に監督としてのチャンスが訪れた。そしてポテンシャルが開花、見事にムーブメントを起こしている。

 その代表的な存在が30歳のユリアン・ナーゲルスマン(ホッフェンハイム)や32歳のドメニコ・テデスコ(シャルケ)。彼らが今後、クラブでどのような斬新なアイディアをもって、新しい戦術やシステムにトライするのか? 私自身も興味が尽きない。また、彼らの存在だけを考えても、サッカー大国ドイツの力強さを窺うことができる。

ヒディンク、ファンハールらを生んだオランダの苦悩。

 一方で、隣国のオランダは苦しい状況に立たされている。オランダの監督事情を考えてみると、ここ数年でその顔ぶれに変化があったとはいえない。私がVVVフェンロで過ごした3年半の間も、若手監督に関する大きな話題はなかった。

 かつて人材を育てることに長けていたオランダが、ヨハン・クライフを筆頭にディック・アドフォカートやフース・ヒディンク、そしてルイス・ファンハールなど多くの名監督を生み出してきたことは事実。だが、ファンハールも66歳とすでに大ベテランの域で、人材難がささやかれている。またそれにともなうA代表の成績不振は深刻で、代表監督問題は今なお解決されてはいない。

 ブラジルW杯でのオランダは、ファンハール監督の手腕により結果を残した。彼はオランダサッカーの基本システムである4-3-3を採用せず、ディルク・カイトをウイングバックやサイドバックとして使うなど、5バックの大胆な選手起用をした。だがその後、ユーロ2016、続くロシアW杯の出場権も逃しており、オランダは変革の時期を迎えている。

【次ページ】 代表87試合出場の選手がライセンス特例受講できず。

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