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長谷部誠は毎日が日本人の新記録。
欧州の1部で10年、キャプテンも板に。
posted2018/01/31 07:00
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
Getty Images
2008年1月に浦和レッズからヴォルフスブルクへ移籍加入した長谷部誠は、2月9日にホームで初先発し、ひし形の中盤の底のポジションに立った。
従来そのポジションを務めていたブラジル人のジョズエは、明らかに長谷部を意識し、まるでその存在を無視するようにふるまっていた。そんなチームメイトのピリピリした空気を気にする素振りも見せず、周囲に指示を出していた長谷部の姿は、10年が経った今も忘れられない。
そして、2018年1月20日ブンデスリーガ、ヴォルフスブルク対フランクフルト戦。キャプテンマークを巻いた長谷部が、古巣のピッチに戻ってきた。
今季のフランクフルトも調子がいい。前半戦を8位で終えたが、3位との勝ち点差はわずかに4ポイント。得失点差が+2点ということでもわかるように、粘り強く勝ち点を拾う姿は、ニコ・コバチ監督の現役時代を彷彿とさせる闘争心に満ちている。
後半戦はリベロ、キャプテンでスタート。
長谷部は昨年春に痛めた右ひざの回復途中ということもあり、前半戦は10試合の出場にとどまったが、後半戦は昨季抜擢されたリベロでスタート。キャプテンを務めていたセンターバックのアブラアムが負傷離脱中という状況もあり、この試合でも主将に任命された。見事なFKでの失点はあったものの、3-1と勝利を飾った。
「FKでの失点で少し苦しくなったときに相手に退場者がでたので、自分たちのペースで出来ました。ただ退場してなかったら、ちょっとわからなかった部分もあったと思う。前半がいい試合だったのは確かで、後半悪くなった。90分間通して、コンスタントにいいゲームをするという課題はまだあるなと思います」
それでもチームとして今季初めての3ゴール。負けないではなく、勝ち切るサッカーへと変わりつつある手ごたえは大きいだろう。
「2点差の勝利も初めてじゃないかな。前が獲ってくれたのは大きい。後ろはとにかく我慢してやっていきたい」