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フランスの女子サッカー代表監督が、
代表チーム構築の要諦について語る。
posted2018/01/30 07:30
text by
フランク・シモンFrank Simon
photograph by
Alex Martin/L'Equipe
皆さんはコリンヌ・ディアクルを覚えているだろうか?
以前(2017年2月6日配信)この欄でも紹介した、フランスで(恐らくヨーロッパでも実質上では)初めて男子プロチームの指揮を執った女性監督である。
そのディアクルが、フランス女子代表監督に就任して5カ月が過ぎた。
2019年6月に地元開催される女子サッカーのワールドカップを控え、初優勝を狙うフランスだが、2011年ドイツワールドカップと翌年のロンドン五輪でベスト4に進んで以降は、EUROも含め国際大会でベスト8の壁を越えられずに停滞が続いている。他のタイトルの獲得もない。
FIFAランキングでは2014年から長らく3位を維持していただけに、実力通りの結果を得ているとはいい難い。
『フランス・フットボール』誌1月16日発売号では、フランク・シモン記者がディアクルのインタビューをおこなっている。
悲願の世界制覇に向けて、ディアクルはいったいどんな展望を抱いているのだろうか。シモンが迫った。
監修:田村修一
決勝の自分を考える前に、開幕戦のことを考えるべき。
フランス女子代表はこの1月20日(土)、2018年の初戦となるイタリアとの親善試合をマルセイユで迎える(註:結果は1対1の引き分け)。指揮を執るのはコリンヌ・ディアクル。昨年8月30日、オリビエ・エシェアフニの後を受けて代表監督に就任したのだった。
来年夏、地元で開催されるワールドカップで初優勝を目指すフランス代表の指揮官として、リーグ2(フランスの2部リーグ)のクラブ「クレルモン・フット」で男子チームを3シーズンも率いたディアクルが、自らの指導に関する方法論と理念を語った。
――2019年7月7日は、女子ワールドカップの決勝戦がリヨンでおこなわれる日ですが、あなたはこのとき何をしているのでしょうか?
「人生がどうなるかは誰にもわからない。その日、スタジアムのベンチに座っていることを願ってはいるけれども」
――ベンチでキックオフの瞬間を待っているわけですね。
「そうだけれども、その前に6月7日の話をするべきでしょう。開幕戦の指揮を執るのはまず間違いないのだから。
もちろん最後もスタジアムで終えたい。でも決勝前に敗退が決まったら、決勝をスタジアムで迎える意味は何もないでしょう」