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千葉ジェッツの天皇杯連覇は革命だ。
6分間で20点差がついた魔の時間も。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2018/01/19 07:00
タイトルは、取れば取るほどチームの財産になる。千葉ジェッツの2連覇はそれ自体が巨大なアドバンテージなのだ。
西村もパーカーも、スタッフの献身に感謝していた。
決勝に間に合った西村は、当初の見込みより早く復帰できた理由をこう語っていた。
「うちのチームには良いスタッフ陣が揃ってくれているので、だから、復帰できたのかなと思いますよ」
パーカーは、足を引きずりながらプレーしていた時期を振り返りつつも、こう話した。
「確かに、怪我をしてからは大変だったよ。ただ、天皇杯までには100%まで上がるように願いながら、ハードに取り組んできたんだ。ドクターやトレーナーが、天皇杯を戦えるレベルになるためのパーフェクトなプランとアイデアを出してくれた。だから僕は戦うことができたんだ」
選手やコーチ陣だけではなく、スタッフも含めてみんなが一丸になっていた。
では、なぜそんなことができたのか。その理由は、明確な指示の下でそれぞれの選手が何ができるかを突き詰めたからだ。
「(富樫)勇樹はいない。(西村)文男は復帰明けまもない。マイク(パーカー)は痛みをもっている。俺たちはベストコンディションではないよ。だからこそ、何が大事かわかるだろう? グループとして戦うことだ。個の力を出し切るんじゃなくて、個の力を結集して出しきる。そういうところにフォーカスして、チームとして戦っていこう」
言いわけになりそうな要素を、先回りして潰す。
大野は就任してから、常にこう言いづけてきた。
自分でコントロールできるものと、コントロールできないものがある。相手の調子、審判の判定、怪我人の有無など、コントロールできないものはあまりに多い。
一方でコントロールできるものは、試合に向けた準備であり、ハードワークを続ける姿勢である。埃のほとんど見当たらない床を入念に磨くかのように、徹底して同じことを伝えてきた。
自分の役割を果たすことに徹するために、言いわけの余地を排除してきたのだ。天皇杯の前には、言いわけとして選手の頭に浮かんでしまいそうなことをあえて口にしてその芽を摘んだ。そしてみんなが団結して、自らの役割を考え、取り組むことを求めてきた。
それが成功したのだ。