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千葉ジェッツの天皇杯連覇は革命だ。
6分間で20点差がついた魔の時間も。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2018/01/19 07:00
タイトルは、取れば取るほどチームの財産になる。千葉ジェッツの2連覇はそれ自体が巨大なアドバンテージなのだ。
相手に研究されたら、それを上回る変化が必要。
あるいは、キャプテンの小野龍猛の存在。197cmのスモールフォワード(SF)の果たす役割について、大野HCは先月こんなことを語っていた。
「龍猛のところには(身長の)アドバンテージがあるので。あそこが僕たちの起点だったし、自分たちのゲームのオフェンスを左右する一番のポジションだった。彼のポジションが『PG』みたいなものというか。あそこでゲームを僕たちが支配したと思います」
ジェッツには優れたPGが揃っているが、それでも同じメンバーで戦っていれば、対戦相手には研究されるものだ。
昨シーズンのCS(チャンピオンシップ)の準々決勝で栃木ブレックスに敗れた理由の1つは、相手がジェッツの強みを消す作業を徹底してきたからでもあった。
小野と西村が交互にアシストとスコアラーに。
チームは常に進化しなければならない。たしかに小野が身長のミスマッチを活かして、インサイドのプレーヤーのようにポストで受けるプレーはこれまでも見られたが、今シーズンはそれが見違えるほど洗練されている。小野がインサイドで起点になって始まる攻撃は、対戦相手を悩ませている。
小野はこう語っている。
「実は、大学3年生のときにPGをやらせてもらっていたことがあるんですよね。あれを続けていたらどうなっていたか……」
そしてこう続ける。
「僕は元々そういうポストアップからのアシストだったり、周りを活かすプレーも好きなので。自分でポストアップすれば相手のディフェンスも寄りますし。そういうプレーがもっといっぱい出せて、チームメイトが決めてくれれば、僕もすごく嬉しいですよ」
天皇杯準決勝の京都ハンナリーズ戦で、小野は両チーム最多となる8アシストを記録した。すると、本職はPGながらシューターとしても通用する技術を誇る西村は、両チーム最多となる4本の3Pシュートを決めた。しかも、その成功確率は驚異の80%だった。
決勝のシーホース三河戦では、今度は西村がPGとして両チーム最多9本のアシストを記録し、小野は第2ピリオドから第3ピリオドにかけて4本連続で3Pシュートを成功させて、勝利を決定づけた。