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千葉ジェッツの天皇杯連覇は革命だ。
6分間で20点差がついた魔の時間も。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2018/01/19 07:00
タイトルは、取れば取るほどチームの財産になる。千葉ジェッツの2連覇はそれ自体が巨大なアドバンテージなのだ。
「コートでエナジーを表現する」というカルチャー。
それでいて、「アグレッシブなディフェンスからオフェンスに走る」というチームのコンセプトを象徴するように、センター(C)のギャビン・エドワーズは準々決勝の栃木戦で29点、決勝の三河戦で20点とチーム最多得点を記録した。
「チームで一番大きい選手が、先頭をきって走ってくれましたよね」
大野HCも、その貢献に賛辞を惜しまなかった。
天皇杯のベスト5には、小野、西村、ギャビン・エドワーズの3人が選ばれた。
ただ、戦術や戦略的な部分は、大野HC体制1年半のうち、最近になって本格的に取り組み始めた部分である。
就任当初はむしろ、戦術的な部分以外を強調してきた。
「コートでエナジーを表現して欲しい、ということを選手には伝えています。そこがなければ、継続的なチームの強さは絶対に出てこないと思っているので」
大野HCはそれを「チームカルチャー」と表現している。チームにいるもう1人のPG、阿部友和はそれを体現し続けた選手だった。
守備でハッスルすることでチームにエナジーをもたらすプレーは、地味ながら決勝戦の明確なターニングポイントとなった。
ビハインドの状況でコートに出た阿部は……。
三河との決勝は、序盤からシーソーゲームだった。
ジェッツにとっては、第1ピリオドを終えた時点で21-22とビハインドを背負うなど、どうにか三河に食らいついていく展開だった。その第1ピリオドの残り28秒から出場した阿部は、こう感じていた。
「相手が僕にプレッシャーをかけてくるだろうなと予想していたんです。京都や栃木も、僕が出場するときはプレッシャーを激しくかけてきたので。
もちろん、気持ちとしてはディフェンスから入るというのが当然です。オフェンスについては、いつもは耐えてコントロールしようと心がけることが多いのですが、なかなかうちのリズムが来ないシーソゲームだったあのときは、逆に攻めてやろうと考えたんです」
そして、富樫を欠き、ベストコンディションでない選手が多い状況だからこそ、ベンチからスタートする自分の役割をこう考えていた。
「ベンチから出て行った選手が点数をとることで、ちょっと雰囲気が変わるんじゃないかなと思っていました」