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千葉ジェッツの天皇杯連覇は革命だ。
6分間で20点差がついた魔の時間も。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2018/01/19 07:00
タイトルは、取れば取るほどチームの財産になる。千葉ジェッツの2連覇はそれ自体が巨大なアドバンテージなのだ。
ドライブで切り込むことで、相手守備が崩壊。
しかも楽をして外からシュートを打つのではなく、しっかりペイントエリアまでドライブで仕掛け続けた。
第2ピリオドの残り6分59秒には、リングの下まで一度入り込んでから、相手のディフェンスがカバーにきた瞬間を見逃さずにレオ・ライオンズへパス。そこから、アキ・チェンバースへボールが渡り2点差に追い上げた。
その1分後、同点に追いついてなお攻撃の状況でボールを持った阿部は、再びドライブでゴールへ向かう。先ほどのイメージがあるから、相手ディフェンダーはパスを警戒している。
すると、阿部はこともなげに大男たちの間をぬって、レイアップを決めた。32-30とする勝ち越しゴールだった。そして、これは大きな意味を持つプレーだった。
1つは、ペイントエリアにアタックしたことで相手の守備を縮めさせ、外から3Pシュートを良い形で打つための準備を整えたこと。
そしてもう1つが、ジェッツが持つアドバンテージが物を言う試合展開のきっかけを作ったことだった。
一気に20点の差がついた6分間の「ジェッツタイム」。
チームのSNS担当のスマートフォンは、「は」と入力すると予測変換で「ハイエナジー」と出てくる。ジェッツはそういう、エネルギー全開のチームだ。千葉ジェッツというジェット機に「ブースト」というボタンが用意されているかのように、不思議とどの試合でも攻守で相手を圧倒する時間帯が生まれる。
今季のジェッツは、勝つときは大差をつけて相手を叩き壊す。リーグ戦でも、第1ピリオドをリードして終えたときには、勝負所に爆発力を温存できるからか、14勝無敗という圧倒的な成績を残す。
しかし試合への準備が十分でなかったり、不用意なミスが重なると、その爆発力を追い上げで使ってしまうことになる。
この試合は、前者の形になった。阿部の勝ち越しゴールで流れを引き寄せると、そこからは、一度も相手に追いつかれずに勝ちきった。ブーストボタンに導かれるかのような爆発力を、相手を叩き壊すために使えたのだ。
この試合の「ジェッツタイム」は、第3ピリオド開始1分後から、6分強もの間続いた。
今季のリーグでトップタイの勝率を残している三河が、その間1点も決められなかった。対するジェッツは小野の3連続の3Pシュートの成功もあり、20点を積み重ねた。
この6分間で、ジェッツの優勝は決まった。