Jをめぐる冒険BACK NUMBER
森保Jの中心は“多機能3バック”。
攻守に効く板倉、原、立田の3人組。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byGetty Images
posted2018/01/16 07:00
本番の東京オリンピックでトーナメントを戦うことを考えると、守備の安定は大きなアドバンテージになりうる。
3バックの両サイドが攻撃で発揮する重要な役割。
その2ボランチの関係も、タイ戦では神谷優太(愛媛)が後ろ、井上潮音(東京V)が前というように、よりはっきりとさせ、井上をゴール近くでプレーさせた。
こうして後方からしっかりとボールを繋いでビルドアップしていくチームコンセプトにおいて、大きな役割を担っているのが、3バックの左と右のセンターバック――タイ戦で言えば、板倉と原輝綺(新潟)だ。
パレスチナとの初戦では左センターバックの板倉がボールを持ち運び、中央突破からゴールを奪ったが、タイ戦では右センターバックの原が積極的に右ウイングバックの藤谷壮(神戸)をサポートし、攻撃に厚みを加えた。自身の役割について原が言及する。
「ボールを持ったときの3バックの立ち位置がすごく重要になるのは分かってました。細かく上下動したり、絞ったり開いたりをこまめにやってボールを受けながら、自分のところで攻撃をスタートできればいいと思っていました」
ときに大きく開き、相手のプレッシャーをかわすようにパスを受け、ときに敵陣に入って攻撃の組み立てに参加した。
どこで、いかに数的優位を作るかという発想。
なかでも興味深かったのは、後半のポジショニングだ。相手陣内のインサイドにポジションを取り、まるで3人目のボランチのようにプレーするシーンが何度もあったのだ。その効用について原が明かす。
「監督からも少し中気味でサポートしろって言われたんです。自分があそこに入れば、ボランチは1枚残るだけでいいし、自分のところからサイドチェンジや縦パスを入れることもできるので、押し込んだときは自分の立ち位置がカギになると思います」
守る場合はセンターバック。しかし、攻撃に転じればサイドバックのようであり、ボランチのようでもある。またパレスチナとの初戦で板倉が披露したように、空いていれば中央のスペースを突くことが求められ、必要に応じてオーバーラップ、あるいはインナーラップを敢行することも必要とされる。
攻撃を組み立てていくうえで、数的優位をどこで、いかに作るのか――。そのカギを握るのが、3バックの左と右のセンターバックなのだ。