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ブンデス前半戦で走った日本人は?
武藤、酒井、浅野、実は香川も……。 

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遠藤孝輔

遠藤孝輔Kosuke Endo

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posted2018/01/05 08:00

ブンデス前半戦で走った日本人は?武藤、酒井、浅野、実は香川も……。<Number Web> photograph by Getty Images

テクニカルなイメージが強い香川。しかし走行距離に目を移してみると、献身性が高いことも分かる。

香川は“走れるプレーメーカー”になっている。

 2017年のラスト2試合で第9~10節の酒井を凌駕する好記録を残したのは、ドルトムントの香川真司。第16節のマインツ戦で12.55km(リーグ全体で8番目)、第17節のホッフェンハイム戦で12.24km(同14番目)を走った。これほど長い距離を走りながら、ゴールに絡む仕事を連発した香川の前半戦終盤のパフォーマンスは見事だった。1試合平均も酒井より上の11.826kmで、同僚のゲレイロとともに“走れるプレーメーカー”になっている。

 もともと運動量に定評のある武藤と酒井とは異なり、クローズアップされるケースが少ないが、香川はリーグ2連覇に貢献した2011-12シーズン途中にも平均走行距離でリーグトップに躍り出た経験がある。シーズン後半、どれだけ走るのか改めて注目したい。

 一方、シュツットガルトに所属する浅野拓磨の走りぶりも特筆に値する。90分間平均はコンスタントに出場機会を得ていた日本人ではトップの12.137km。フル出場した3試合の平均は11.513kmまで下がるものの、裏を返せば途中出場および交代時の運動量が凄まじい。まさにエンジン全開で、チームに活力を注入している。ここまで1得点と肝心の結果が伴わないだけに、課題であるゴール前のプレー精度を高めたいところだ。

最も短い走行距離は長谷部、意外と走っている鎌田。

 第17節までの出場時間が700分以上だった最後の1人、フランクフルトの長谷部誠は1試合平均が10.346kmと日本人9選手の中で最も短い。もちろん、これは中盤ほど運動量を求められないリベロでプレーする機会が少なくなかったから。膝に爆弾を抱えながらもピッチに立てば、相変わらず献身的な働きでチームを根底から支えていた。

 プレータイムが限られた3選手(ハンブルガーSVの伊藤達哉、ヘルタ・ベルリンの原口元気、フランクフルトの鎌田大地)の中では、鎌田が興味深いスタッツを残している。ここまでの出場時間は145分に留まるが、総走行距離を90分平均に換算すると12.966km。日本人では断トツになる。ブンデスリーガではまだ一度も経験していないフル出場時に、どれだけの距離を走るのか楽しみではある。

 今季のブンデスリーガはロシアW杯を控える影響から、例年よりウインターブレイクが1週間ほど短い。そのぶん、体力面の消耗は多くなるかもしれない。その中で豊富な運動量を示すのは誰か。ポジションやチーム内の役割、出場時間に左右されやすいスタッツのため、フラットに比較することはできないが、改めて走行距離に注目しても面白いはずだ。

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武藤嘉紀
酒井高徳
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原口元気
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鎌田大地

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