スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
ヤンキー・スタジアムと右の強打者。
ジャッジ+スタントンで100本超え?
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byAP/AFLO
posted2017/12/30 08:00
スタントン加入によって破壊力アップ確実なヤンキース打線。2009年以来の世界一へ、時は来た。
177試合で53本を打っているサンチェスにも注目を。
右打者だけに絞ると、156本(ヤンキー・スタジアム)対109本(マーリンズ・パーク)と明らかな差がある。スタントン自身、「マーリンズ・パークでホームランを打つには、球を芯でとらえて高い飛球を上げなければならない。当たり損ないでは届かない」とインタヴュー記事で述べている。
そんなスタントンが、新たな本拠地で、ジャッジに倣って軽い右打ちで本塁打を量産できたら、凄い数字が生まれるのだろうか。いや、彼らだけではない。ヤンキースにはもうひとり、ゲイリー・サンチェスという右の強打者がいる。ジャッジはデビュー以来182試合で56本塁打を打った。サンチェスも177試合で53本を打っている。ほぼ同等のペースだ。スタントンは986試合で267本だから、彼らがそろって順調に活躍できれば、3人の右打者の合計本塁打数は140~150本に達する可能性がある。
もちろん、これは机上の計算だ。ジャッジやサンチェスは相当研究されて、きびしく弱点を攻められるだろうし、スタントンもア・リーグの野球にとまどう可能性がないとはいえない。そもそも、ジャッジとスタントンは、どちらが右翼を守り、どちらがDHにまわるのだろうか。普通に考えれば、疲労度や体調を考慮して、元気なほうが外野守備に就くことになるのだろうが、ふたりともDHには馴染んでいない。まあ、そこまで考えるのは杞憂という気もするのだが。
セベリーニョと田中が軸の先発陣にあと1枚加われば。
ざっとこんなところで、2018年のヤンキースは、十分にワールドシリーズ制覇を狙える位置にいる。ルイス・セベリーニョと田中将大を軸に「右投手」をずらりとそろえた先発陣(いまのところ、左はジョーダン・モンゴメリーとCC・サバシアしか見当たらない)は、あと1枚駒が加わればかなり期待できるし、新監督アーロン・ブーンの明るさもプラスに働くような気がする。
シーズン半ば、あるいはシーズン終了後に「ヤンキー・スタジアムで勝ちたければ、右打者と右投手をそろえる必要がある」という発言が聞かれたりしたら、ちょっと面白いではないか。