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ペトロヴィッチ式は札幌に合う?
浦和での5年半に見る魅力と危うさ。
text by
塚越始Hajime Tsukakoshi
photograph byGetty Images/J.LEAGUE
posted2018/01/02 08:00
解任されたとはいえ、浦和で一定の評価を得たミシャ。北の大地で魅惑のスタイルを作り上げられるか。
駒井や三好獲得、小野、稲本の再生と見どころ満載。
札幌で選手を育てながら勝っていこうとするならば、対戦相手やチーム状況を見ながら、柔軟性や寛容性を持った選手選考が求められる。
そう考えると、ミシャスタイルを取り入れる素地を、四方田修平前体制のもとで整えていたことは大きい。
昨季、浦和時代にミシャが獲得を望んだ福森晃斗の残留が決定した。さらに21歳のストッパー進藤亮佑も面白い逸材だ。両ウイングバックをこなす菅大輝は東京五輪代表を目指せる有望株で、ミシャスタイルで一段と飛躍が期待される。そして小野伸二や稲本潤一の再生も、指揮官の手腕の見せどころになる。
さらに高速ドリブラーである浦和の駒井、川崎フロンターレの技巧派アタッカー三好康児のレンタルによる加入、足元の技術が高い京都サンガのGK菅野孝憲の獲得が濃厚だ。そういった陣容からは、2018年の札幌は徹底的に「走る」チームになるイメージが浮かぶ。
「点」で合わせるジェイをどう生かすのか。
加えて最大のポイントとなりそうなのが、CFジェイの生かし方だ。ミシャスタイルでは、佐藤寿人、興梠慎三とムービングタイプのCFが重宝されてきた。スペースを突いてポストプレーをこなし、なおかつシュートの技術も高い、万能型だ。対照的に、高さと強さが武器のジェイはゴール前で待ち構えて「点」で合わせるタイプ。浦和でも似たタイプのズラタンがいるが、生粋のCFタイプはなかなかフィットできずにいた。
それだけに広島在籍時のピーター・ウタカのように、ジェイのシャドー起用もあるか。もしくはジェイ加入後シャドーでプレーした都倉賢と、2トップで共存を図るとしても興味深い。
冒頭の柏木のコメントが物語るように、ミシャの戦術は日本人の特性を生かしたものと言える。大型CBやストライカーが限られる一方、技術の高い日本人選手は各ポジションに多い。ならば最終ラインからビルドアップし、どこからでもゴールを狙っていこう――という、まさに全員サッカーだ。
その代表格だったのが、興梠慎三だった。