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柳田将洋が「影響を受けた選手」。
Vリーグ最多出場男・36歳酒井大祐。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKiyoshi Sakamoto
posted2017/12/27 08:00
1981年生まれ、チーム最年長の酒井。36歳のベテランはコート内外で若い選手たちをけん引している。
柳田将洋が「影響を受けた選手」として酒井を指名。
そんな酒井にとって転機となったのは入社2年後の2006年にJTを退社し、同チームとプロ契約を交わしたことだろう。大学時代から「将来はプロとしてプレーしたい」と考えていたという。
その後は1年間の成績や結果をもとに、契約を更新する形でプレーを続けてきた。今年4月、全日本のエースである柳田将洋がプロ宣言をする際に「影響を受けた選手」として酒井の名前を挙げたほど、ストイックにバレーボールに取り組んできた。
「マサ(柳田)はサントリーに入った直後のシーズンで、僕もサントリーに移籍したばかりで境遇が似ていたこともあって、いろいろな話をしました。マサは全日本では活躍していたけれど、サントリーでは新人です。だから、まずはサントリーでの居場所を作ることが大事だと思いました。“とにかく上がったボールを全部決めろ”“決め続ければ、それを見た周囲の選手がマサの言葉に耳を傾けてくれるようになるから”と声をかけたと記憶しています」
プロは結果がすべて。そう自分に言い聞かせて11年間プレーをしてきた酒井だからこそ、その言葉には説得力があった。
お山の大将でいられたJTからサントリーへの移籍。
そしてJTからサントリーへの移籍は、酒井にとっても大きな転機だった。
「12年間在籍したチームを離れたことで、見える風景が一変しました。それまでは“酒井大祐はこういう人間だ”と、僕を理解している人ばかりに囲まれていたけど、新しいチームに移籍したことで、ゼロから人間関係を構築しなければいけませんでした。どうしたら自分が理解してもらえるのか、どうしたら周りの人のことを理解できるのか、一生懸命考えました。
もしあのままJTにいたら、僕はお山の大将になっていたと思います。僕が意見を言えばトップダウンで、誰も反論できない雰囲気になったでしょう。でもサントリーで再スタートを切ったことで、まず自分から周りの選手にどうしたいかを聞くようになった。人の気持ちを考えるようになりました。その作業ってバレーボール、特にリベロというポジションの仕事に直結しているんです」