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柳田将洋が「影響を受けた選手」。
Vリーグ最多出場男・36歳酒井大祐。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKiyoshi Sakamoto
posted2017/12/27 08:00
1981年生まれ、チーム最年長の酒井。36歳のベテランはコート内外で若い選手たちをけん引している。
「若い世代は真面目な分、ネガティブな子も多い」
リベロは守備専門のポジションだが、ボールを拾うだけがその役割ではない。相手の戦い方を観察し、ときにはコート内で味方の選手に指示を送り、守備システムの要となる。コミュニケーション能力が必要とされるポジションだ。
ただ1人コートに自由に出入りできるため、コートの外から戦況を見つめる機会も多く、俯瞰でゲームを見て、チームの潤滑油となる場面も多い。
「リベロとしては、安定感がいちばん大事だと思っています。プレーにも精神的にも波が少ない、常にコンスタントに仕事ができるリベロが理想です。
でも今は、あえて喜怒哀楽を出すようにしているかもしれません。オーバーリアクションでチームを鼓舞しつつも、頭は冷静に、心の中ではどっしりと構えている。そんなプレーを目指しています」
若い選手を落ち着かせるために、表情や、かける言葉にも気を配る。チームに危機感を抱かせるため、あえて練習直後の体育館で、全選手が見ている前で監督に意見したことも過去にはあった。
「自分より若い世代の選手は真面目な分、ネガティブな思考の子も多いと感じています。だから、そういう選手の意識の持って行き方をどう変えればいいのかをいつも考えていますね。実力があるのに自信がない選手が多いし、だから試合中、自分をコントロールできない。そんな中では、なるべく自分は感情を表情に出して、“この試合を絶対に取りにいくんだ”とあえて言葉に出してチームを鼓舞します」
東京オリンピックを目指すとは、いえない。
Vリーグの出場記録を更新中である今、酒井の次の目標はなんなのだろうか。
「東京オリンピックですか? 目指すって言ったら、めっちゃかっこいいんでしょうけど、僕、嘘はつけないんです、アハハ。今は、とにかくサントリーがうまく回ることが目標ですね。
選手はもちろん優勝を目指しています。でも本気度は、人によって違う。それは年齢も経験も違う選手の集まりだから当然だと思っています。誰だって初めての優勝は、どうしたら優勝できるのか知らずに優勝するじゃないですか。だから、そういう選手の意識を同じにしていくことが僕の今の目標ですね。試合に出る機会が以前より減った今は、試合に出ていないときに、コートにいるときと同じことをどうやるかということを模索中です」