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柳田将洋が「影響を受けた選手」。
Vリーグ最多出場男・36歳酒井大祐。
posted2017/12/27 08:00
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
Kiyoshi Sakamoto
サントリーサンバーズのリベロ酒井大祐が、2017年11月26日、JTサンダーズ戦での出場をもって通算出場セット数を1159とし、V・プレミアリーグ男子の最多出場記録を更新した。
第10回Vリーグ(2003-2004年)でデビューして以来、実に15シーズンをかけて達成した記録だった。
「新記録達成という実感は、実はまだないですね」
酒井は記録達成のあと、こう率直な感想を語った。
酒井は東海大学4年生のとき、内定選手としてJTサンダーズに合流した。デビュー戦はその年のVリーグ終盤。すでにファイナルラウンド進出を決めていたJTは、不動のレギュラー山本健之(現・日本体育大監督)に代えて酒井をスターティングメンバーで起用した。JTの本拠地、広島・呉での試合が記念すべき初出場だった。
2011-12シーズンには入れ替え戦を経験し、2015-16シーズンはJTの創部以来初めてとなる優勝に貢献した。そんな15年の競技人生を酒井は「濃いですね」と、照れくさそうに振り返る。
長きにわたりVリーグで活躍できた要因を聞くと、しばらく考えてこう答えた。
「もちろん根本は、バレーボールが好きだったからだと思います。あとは、そのときどきの監督との出会いも大きかったですね。監督が替わって、試合に出られなくなる選手も大勢いる。そんな中で機会をいただけたことが、自分の出場試合数に表れていると思います」
「監督の色に染まることも大事」という助言。
酒井は実に多様な監督のもとでプレーしている。
ソウルオリンピックで旧ソ連を銀メダルに導いたパルシン・ゲンナジーに始まり、アメリカ人のゴードン・メイフォースや、セルビア・モンテネグロ代表の監督を務めたヴェセリン・ヴコヴィッチ。そして2015年にサントリーに移籍してからは、ブラジル人監督のジルソン・ベルナルドのもとでもプレーした。
「もちろん、自分のやりたいこととか、曲げられないポリシーはあります。それは持っていたほうがいい。でもそれが監督とマッチするかどうかは別の話。JTに入ったばかりのころ、先輩から言われた“監督の色に染まることも大事だ”という助言をきっかけに、自分もそう考えるようになりました。意見の食い違いで衝突することがあっても、なるべく監督の意図をくんで、理解しようと心掛けてきました」
そのときどきで出会った監督を理解し、監督の要求に応えようと努力を重ねてきた。常に融合、協調を選択してきた経験が、現在のプレースタイルに生かされていると酒井は言う。