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W杯、日本に問われる“跳ね返す力”。
中澤&闘莉王の領域に近づけるか。 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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posted2017/12/09 11:30

W杯、日本に問われる“跳ね返す力”。中澤&闘莉王の領域に近づけるか。<Number Web> photograph by Getty Images

この7年間でセンターバックに問われる資質は増えた。ただ中澤&闘莉王が見せた体を張る守備は、現代表にも求めたいプレーだ。

長友、酒井でも剥がされる場面は想定しておくべき。

 それでも、一度ならず剥がされてしまう場面は想定しておくべきだ。インテンシティの高いW杯のゲームで、パーフェクトな守備を求めるのは難しい。1対1のデュエルが増えれば、消耗は激しくなるものだ。1試合目より2試合目、2試合目より3試合目と、疲労が蓄積していくことも忘れてはならない。

 ならば、あらかじめ守備ブロックを形成するべきなのか。失点を防ぐ意味ではベターな選択肢だが、ゴール前中央の跳ね返す力に不安が過る。

 守備に軸足を置いた戦略の成功例は、'10年の南アフリカW杯だ。1トップの本田圭佑の奮闘が思い出されるが、戦略のキーマンは中澤佑二と田中マルクス闘莉王だった。このふたりのセンターバックは、最終ライン中央に堅牢な壁を築いた。ワールドカップに出場した歴代の代表チームで、彼らこそが最高のセンターバックコンビと言っていい。

吉田のパートナーが槙野、昌子で流動的なのは……。

 ひるがえって現チームはどうか。吉田麻也のパートナーがいまだ流動的なのは、ロシアW杯への不安材料だ。槙野智章、昌子源らが候補に挙がっている。競争のレベルはそれなりに高い。しかし、中澤&闘莉王の領域に近づけるコンビが、W杯までの残り時間で出来上がるだろうか。

 守備に軸足を置いたなかで、攻撃にどこまでパワーを注げるのかも不透明だ。攻撃のスタートラインが低くなり、すぐにはサポートを得られないなかでもアタッカー陣がボールをキープする。それによってプレーエリアを押し戻し、相手守備陣に脅威をもたらせるか。数多くのチャンスを生み出すのが難しいだけに、ワンチャンスで確実に仕留める精度も要求される。

 対戦相手を悩ませる武器も、日本は持ち得ていない。たとえば対外的に力を認められたフリーキッカーがいれば、相手守備陣は反則を冒すことに神経を尖らせる。「ペナルティエリア付近では不要なファウルができない」との精神的重圧を感じ、日本のアタッカー陣が駆け引きで優位に持ち込めることにつながる。

【次ページ】 自分たちの強みをぶつけるだけでは、4年前と同じ。

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