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中村航輔と川又堅碁……その次は?
E-1のラストチャンスを掴む方法。
posted2017/12/11 11:50
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Kiichi Matsumoto
一発で模範解答を出せ、とは言わない。
それにしても、見どころがなかった。12月9日のE-1選手権で北朝鮮を下した日本には、チープウィンという表現が当てはまる。アメリカでは「安っぽい勝利」といった意味で使われるが、ここでは「もらいもののような勝利」との表現がふさわしいだろう。
東アジアの隣国同士といっても、対戦相手の情報は多くない。選手たちはいくつかの映像をチェックしたそうだが、実際にマッチアップしないと分からないものはある。
序盤の攻防が手探りになるのはしかたのないことだが、前半の日本は相手GKをほとんど脅かせていない。シュートは散発の4本に終わっている。自分たちは攻め込めないのに、北朝鮮には崩しの形を2度も作られた。
手探り状態から素早く抜け出したのは、日本ではなく北朝鮮だったのである。
見たかったのは試合途中でのチームの修正能力。
急造チームゆえに連動性を発揮するのは難しい。鮮やかなコンビネーションによる崩しなど、そもそも期待されていなかっただろう。
見たかったのは修正能力である。
試合をしながら最新の情報を集め、素早く更新し、局面での攻防を優位に運べるようにする。スカウティングが勝敗に影響を及ぼすW杯のような舞台でも、修正能力は問われる。
互いの特徴をスキャンし合っているからこそ、意外性のあるプレーが有効打と成り得るのだ。
あらかじめ警戒していた長所を封じるだけでは、世界のトップ・オブ・トップでは戦っていけない。
後半の日本はどうだったか――。