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ヴェルディ昇格へ内田達也が躍る。
J2でも“今野レベル”のプレー基準を。
text by
海江田哲朗Tetsuro Kaieda
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/11/26 07:00
徳島戦後、チビッ子ファンとのハイタッチに応える内田。職人肌タイプとしてヴェルディに不可欠なピースとなっている。
ロティーナ監督に叩き込まれた理論的+組織的守備。
アンカーの内田を中心とする組織的な守備については、MF梶川諒太の言葉を借りよう。
「ポジショニングやパスコースの切り方は、トレーニングで頭に叩き込まれています。試合では相手のボールホルダーに対し、右か左、どっちのコースを切れと後ろのウチから声がかかる。自分が後ろにいた場合はコーチングする側に回ります。対応が早ければいいというものではなく、最初から締めすぎるとボールを逃がされるだけ。わざとコースを少し開けてパスを出させたり、相手との微妙な距離間を意識しながらやっていますね」
今季の途中、「ゴールやアシストといった結果をまったく出せていない。点になりそうな場面で安全なほうを選んでしまうのは、自分のプレーに自信がないのか。攻撃面での成長は物足りないどころの話ではないです」と語っていた内田だが、第37節のザスパクサツ群馬戦、そして最終節の徳島戦とチームを勝たせるゴールを奪い、オフェンスでも重要な仕事をしている。
「徳島戦のゴールは、単にあそこにいただけ。攻撃に参加し、流れのなかで最後の崩しに関わるプレーができるようになりたい」
冷徹なまでに自己を観察、分析する客観性。
内田がその目に宿すのは冷徹なまでの客観性だ。自己を観察、分析し、ジャッジを下すもうひとりの自分がいる。
「最近、自分の感覚ではあまり効果的なプレーができていないんです。いい位置でボールを受けられていない、チャンスにつながるパスを通せていない、さばけてもいない。むしろ、攻撃ではみんなの足を引っ張っている。監督からは自陣のバイタルエリアをケアするように言われていて、そのタスクをしっかりやるのは当たり前。ただ、その仕事だけなら僕ではなくほかの誰かでもできるでしょ」
まさか、あと少しで昇格に手が届きそうなこの時期、上位争いに分け入ったチームの立役者からこれほど満ち足りない述懐を聞くとは思わなかった。
「1年間、こんなに試合で使ってもらって、この程度のプレーしかできないのか。率直にそう思いますね。ボールを動かすことに関しては、序盤のほうができていたくらいです」