福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
福西崇史が語る強豪相手の対処法。
“どこで奪うか”を一致させないと……。
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph byGetty Images
posted2017/11/14 11:20
日本のプレスを空転させる技術を有していたマルセロ。彼らのようなワールドクラスと戦うことに意義がある。
個人では酒井宏がネイマールと対戦しているが。
選手個人では酒井宏樹(マルセイユ)がネイマール(PSG)とリーグアンでマッチアップした経験もあるからでしょうが、この日の試合でも頑張る場面が見えました。ただ試合は11人での戦いになる。そこでの差が出たということです
アジア相手ならボールが取れていたはずの寄せのスピードでも、ブラジル相手だと取れない。感覚は、試合前から理解しているつもりでも、実戦でやってみないとその間合いが分からないんです。その状況を耐えながら、どこまで早く適応して、なおかつ自分たちのやるべきプレーを忘れずにできるか。強豪国相手の試合ではそれが大切です。
ボールを奪うタイミングに徹底した共通意識を!
実際、僕も'05年のコンフェデ杯ブラジル戦(△2-2)で強烈な印象を味わっています。マッチアップしたのはカカでしたが、自分はボールを持っていないのにカカのドリブルスピードが速すぎて追いつけないというのは衝撃でしたから。正直に言うと、このショックは切り替えようがない(苦笑)。
それでもあの時は、守備で“どこで奪いにいくか”という共通認識はブレずに戦えた。狙いの1つを簡単に説明すると、相手のサイドバックにボールが入った時、サイドラインへと一気に追い込んでボールを奪いにいく。そのタイミングで全員がパワーを出し切ることを徹底しました。逆に言えばそれだけ集中しなければ、ブラジルの個人能力を止めきれないレベルだということ。
今回のブラジル、ベルギーとの連戦は、今まで積み上げたことが通用するかと同時に"どれだけ厳しい相手とW杯で戦わないといけないか"というのを確認できる機会でもあります。次に戦うベルギーもアザールやデブライネなど、ブラジルとはまた違ったタイプの強烈な選手が各ポジションにいます。