福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
福西崇史が語る強豪相手の対処法。
“どこで奪うか”を一致させないと……。
posted2017/11/14 11:20
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph by
Getty Images
ブラジル戦、世界のトップとの差は歴然だったと言わざるを得ない試合でした。前半から「前から奪いに行きたい」と、チャレンジしたい気持ちは伝わってきた。ただ日本の最終ラインにネイマールやジェズスといったFWに一発でやられたくない、という怖さがあったのかて押し上げきれなかった。選手それぞれの距離感が広がったことで中盤でのプレッシャーが弱まって、スペースを使われる形となりました。
ブラジルの先制点はVAR判定によるPKでしたが、もしPK判定がなかったとしても、同じような展開になったと感じます。選手も実感していたとは思いますが、一枚岩で戦えず、迷ったまま試合が進んでいった印象です。
前からプレスをかける場合、それがハマらなかったときの精神的、肉体的ダメージは相当キツいんです。この日は日本の3トップと中盤でプレッシャーをかけにいきましたが、ブラジルが焦ることはなかった。複数人で囲みに行った場面でも慌てることなくキープして、味方がフリーになった瞬間にパスを出す。もしくはドリブルで引きはがしてくる。ああいった余裕あるプレーは本当に厄介です。
前線のネイマールやジェズスだけじゃなく、カゼミーロ、フェルナンジーニョ、マルセロ、チアゴ・シウバといった選手の質を強烈に感じました。
「どこで奪えばいいの?」という状況だった。
日本視点で考えると前からプレスした分だけ、かわされるとスペースが大きく空く。一度マークを外された日本の選手は後ろ向きに戻る、プレスバックの動きをせざるを得ないんですが、今度はプレスバックした分だけ空いたスペースをまた使われるので、別方向へ走らされる……という繰り返しになりました。
こうなると選手の中には「どこで奪えばいいの?」、「どうやって試合を運ぶの?」という気持ちが芽生えてくる。
この後手後手の状況が続くと、走行距離が伸びる以上に、細かな方向転換やスプリントを強いられる。こうなると乳酸が溜まって動きが鈍ってくるんですよね。