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持ち込んだのは規律だけじゃない。
東京V・ロティーナ監督のJ1昇格計画。 

text by

海江田哲朗

海江田哲朗Tetsuro Kaieda

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photograph byJ.LEAGUE PHOTOS

posted2017/11/11 07:00

持ち込んだのは規律だけじゃない。東京V・ロティーナ監督のJ1昇格計画。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

リーガの名将は、日本でもやはりその手腕を発揮した。ロティーナ監督がヴェルディを昇格させれば、2008年以来のJ1復帰となる。

創造性を重視する東京Vでも、規律の効果は劇的だった。

 昨季、J3降格の危機に陥り18位に終わった東京Vを、昇格争いに残しているのはまぎれもなくその手腕によるものだ。

 開幕当初は3-4-3の布陣でスタートし、一時は13位まで順位を下げ、行き詰ったところで4バックを導入。ふたつのシステムを試合中に使い分けられるチームに仕上げた。着実に勝点を積み重ねてきた背景には、ロティーナ監督の右腕であるイバン・パランコ・サンチアゴコーチの的確なスカウティング力もある。

 規律を植えつける手法は、創造性を重視する東京Vで育った選手ほどなじみが薄く、このカルチャーショックが効果的に作用した選手は少なくない。前述した渡辺と安西がそうだ。渡辺の変化は、攻守の切り替えの際に局面を一気に好転させるプレーとなって表れた。安西はいまやリーグ屈指のサイドアタッカーに変貌を遂げている。

 腕利きの集うプロの世界では、巧さ、強さ、速さだけでは大した目印にならない。より強い光を放つには、発想と能力の使いどころを会得することが肝要だとロティーナ監督は示した。

規律と創造性、ふたつの要素でできた扉。

 規律と創造性。今季の東京Vは、このふたつの要素から成る両開きの扉から出ていこうとしている。その先には何が見えてくるのか。

 すでに湘南ベルマーレがJ1への切符を手にしており、残された自動昇格枠はひとつ。そして、昇格プレーオフに出場できるのは3位から6位までの4チーム。第40節の結果、7位に後退した東京Vはプレーオフにすべり込みたい構えだ。残り2試合、はたして海千山千のロティーナ監督はどんな手を打ってくるのだろう。

 最終節は11月19日、現時点で勝点が並ぶ徳島ヴォルティスを味の素スタジアムに迎え、プレーオフ進出を懸けた決戦となる見込み。徳島のリカルド・ロドリゲス監督と、スペイン人監督同士で雌雄を決することになる。

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#ミゲル・アンヘル・ロティーナ

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