詳説日本野球研究BACK NUMBER
大阪桐蔭トリオと大学の下級生たち。
神宮大会が来年のプロ注選手だらけ!
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byAFLO
posted2017/11/09 07:00
2017年のセンバツにも登板した大阪桐蔭・根尾。その成長した姿を晩秋の神宮で見せる。
慶応・岩見は三振こそ多いがミート感覚も秀でる。
第4試合で対戦する富士大と大商大にも好投手がいる。私が注目するのは富士大の投手陣で、加藤弦(4年)は縦変化のスライダーとフォークボールで高低を揺さぶり、鈴木翔天(3年)は最速149キロのストレートを武器に今秋の八戸工大2回戦で北東北大学リーグ史上初の完全試合を達成した本格派左腕である。
2日目の第3試合に登場するのが、岩見を擁する慶応大だ。東京六大学リーグ史上3位の通算21本塁打を放つ岩見は三振が多いものの、ミートの感覚にも秀でるという不思議な選手で、リーグ戦通算記録は私の計算によると長打率.674、出塁率.379で、OPSは10割を超えている。今秋は12安打のうちホームランが7本あり、本塁打率は驚異の.583。こういう選手は歴史的に見ても非常に稀である。
投手は1年生の佐藤宏樹と関根智輝が両輪的存在で、佐藤は秋のリーグ戦で防御率1.03を挙げ投手成績1位に輝いている。
3年生中心の東洋大からは走攻守に優れる4番・中川。
3日目には東洋大、4日目には日本体育大が登場する。東洋大は秋の東都リーグ優勝校だが3年生が中心のチームである。投手は甲斐野央と梅津晃大がともにストレートが150キロを計測する本格派右腕で、甲斐野は今秋、最優秀投手とベストナインに輝いている。
2年後の候補もいる。秋の最高殊勲選手に選出された飯田晴海(4年)は技巧色の濃い右腕だが、右打者の内角に腕を振って投げ込むストレートに息を飲むような迫力があり、優勝決定戦となった秋の亜細亜大2回戦では最速146キロを計測している。
野手では4番・中川圭太(二塁手・3年)が数少ない来年の野手の上位候補だ。今秋通算3回目のベストナインに輝き、通算成績は打率.288、本塁打6。春の亜細亜大1回戦ではセンター方向に三塁打を放ち、三塁到達タイムはあっと驚く11.31秒で、7回には一、二塁間の難しいゴロを倒れ込んで好捕し、アウトにしている。
つまり強打者でありながら走攻守が揃っているということ。心配なのは優勝を決めた秋の亜細亜大戦で走塁中に足を故障したようだが、何とか間に合ってほしい。