サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「こうやって代表選手は変わるんだ……」
浅野拓磨が代表で感じた、ある変化。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakuya Sugiyama
posted2017/11/07 08:00
ブラジルW杯のメンバーから、明らかに中心メンバーが変わりつつある日本代表。代表チームは、まさに時代の節目を迎えている。
いつかは若手の台頭で追い落とされる時が来る。
デビュー当初は“次世代を担う”や“新星”という様々なキャッチフレーズが付けられ、ちょっと活躍しただけでもてはやされる。そこでゴールを決めようものならお祭り騒ぎだ。
だが、キャリアを重ねるにつれ、そうした新鮮味はなくなり、やれて当たり前の存在になる。
さらにキャリアを重ねると、今度はかつての自分のように勢いを持った若手が台頭してきて、彼らが活躍すると世論は一気に期待の言葉を並べて騒ぎ立てる。
その一方で逆に自分が活躍できなかったらすぐに「◯◯は素晴らしかったが、◯◯はダメだった」と非難の対象となり、やがて不要論まで巻き起こってしまう。
そう……それは浅野らが台頭してきたことで、本田圭佑や香川真司、岡崎慎司などがまさに今直面している状況なのだ。
オーストラリア戦の浅野と井手口陽介のゴールは、それをより加速させたと言っていい事象だった。
本田も香川も岡崎も、決してブレなかった!
いつかは浅野自身も本田や香川、岡崎の立場を味わうかもしれない。だが、裏を返せばそれは日本代表の中心として長く戦い続けてきた者にしか味わえない立場でもあるのだ。
「今までは本当にそんなことまで考えたことも無かった。でも、オーストラリア戦をきっかけに『あ、こうやって代表選手は変わっていくんだ』と思ったし、同時に『悪いプレーをしてブーイングされることはそんなに悪いことじゃないんだ』と思うようになった。
前のようにワンプレーで騒がれなくなったのは、決して悪いことじゃないんだと。先輩達を見て思うのは、メンタル面で絶対にブレていないということ。周りの目が厳しくなる中で、『じゃあ自分には何が出来るか、何が必要か』と当然考えますが、やっぱり急に上手くはならない。
だからこそ、ダメだったときに『ああ、俺はやっぱり全然ダメなんだ』と沈まないことが物凄く重要なんです。どんな批判、指摘に対してもどっしりと構えて、周りに何を言われようが、『言われること自体が光栄だ』と感じないとやっていけないと思う。今、僕はそのメンタリティーを鍛えている最中でもあります」