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畠山健介と湯原祐希のスクラム語り。
「ジャパンが重要性を知らしめた」 

text by

朴鐘泰

朴鐘泰Park Jong Tae

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2017/11/03 11:00

畠山健介と湯原祐希のスクラム語り。「ジャパンが重要性を知らしめた」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

近年はFWにもフィールドプレーが求められるが、スクラムはまさに彼らの正念場。ここで押せるか押されるかは天地の差なのだ。

前列3人のうち1人が勝っても、我慢する必要がある。

畠山 レフェリーの掛け声は「クラウチ、バインド、セット」。バインドの時点で組み合ってるから、そこからすでに駆け引きは始まっている。だからといって、その時点で押しちゃうと反則(アーリープッシュ)を取られるから気をつけないといけない。

湯原 駆け引きの上手いチームは、バインドのタイミングで相手が無駄に押してきたら、わざと引いて、ペナルティをもぎ取ることもある。言わば、「引いたもん勝ち」。「仕掛けたもん負け」とも言えるかな。ルール上スクラムで引くのはダメなんだけど、そこらへんはレフェリーも含めた駆け引きだよね。

畠山 テレビ中継でもよく使われる「ファーストスクラム」という言葉。その試合1本目のスクラムって本当に重要。スクラムを組んだら、相手の傾向がわかる。

湯原 左右のどちらに押してくるのか。あるいは、上にめくり上げようとしてくるのか、下に落とそうとしてくるのか。スクラムを組んだ後、次のスクラムまでに、相手がこうしてくるから自分たちはこうしよう、と1番と3番に相談して、スクラムの方向性を決めるのもフッカーの役目。

畠山 基本的にスクラムは、真っ直ぐ押さなきゃいけない。だけど、トップリーグの試合だと、スクラムが「回ってしまう」ことがある。

湯原 どういう現象が起きているか解説すると、例えば3番プロップが組み勝って、相手の1番プロップを無力化することができた、と。でも、味方の1番は相手の3番と互角、あるいは劣勢だとする。そんな時に味方の3番が「勝った!」からといって、グイグイ前に進もうとすると、バランスが崩れて回っちゃう。

畠山 組み勝ったところで、我慢しなきゃいけない。

湯原 そう。組み勝った3番がそこで我慢してくれたら、2番は1番のほう、すなわち左肩側を押してサポートにまわる。で、3番は2番の右肩にくっつく形でそこにいてくれればいい。そのサポートが上手くいけば、回ることなく、スクラムを真っ直ぐ押せる。

畠山 何より、スクラムが回っちゃうと「アゲイン」でやり直し。これが、ほんっとうにしんどい(笑)。

湯原 無駄に体力を浪費するだけだからね。1番、2番、3番だけじゃなくて、後ろから押してくれているロックも3列目の選手も疲れるよね。スクラムはFWの8人が1つの塊になって押すのが理想的。「クラウチ、バインド、セット」のセットの瞬間に、8人が一斉に力をこめる。

【次ページ】 湯原「ヤバイスクラムで思い出すのは……」

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