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大仁田厚、7年ぶり7回目の引退!
復帰までがお約束のプロレス人生。
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph byAFLO
posted2017/10/30 07:00
引退→復帰→引退……のサイクルを生きる大仁田。そのメンタルタフネスがあるからこそ、過酷なデスマッチがよく似合う。
長州、橋本も一度は「引退」を決断していた。
そして6回目は、2010年5月5日に新木場1stリングで、かつての盟友ターザン後藤とタッグを結成し引退試合を行なったが、試合後、ファンに向かって「またな!」という、引退試合とは思えない再会の約束メッセージを送り、その約束どおり年内復帰を果たしている。
以上が、これまで6度にわたる大仁田引退の歴史だが、あらためて振り返ると、3回目の引退から、すでにファンが半ば信用しなくなってきていることがわかる。
果たして大仁田は、今回こそ本当に引退するのか?
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もしかしたら、それを真面目に考えること自体、ナンセンスなのかもしれない。公的なコミッションが存在しないプロレス界では、大仁田に限らず、多くのプロレスラーが一度引退した後、リングに復帰している。そして今はファンも、現役復帰にそれほど目くじらを立てなくなった。
'98年に東京ドームで引退試合を行なった長州力は、2000年7月に大仁田厚戦で現役復帰したが、今は「もう俺に引退はない。いつのまにか“消える”だけだ」と語っている。2000年4月に小川直也との「負ければ即引退」マッチに敗れて、一度は引退を表明した橋本真也も復帰後、「もう俺は2度と“引退”は口にできない」と語った。その通り、引退する前に2005年、40歳の若さで亡くなった。
プロレスラーは“生涯プロレスラー”なのだ。
もちろん引退後は一切リングに上がらない選手もいるが、プロレスラーはリングを降りても“プロレスラー”であり、そういう意味では、みんな“生涯プロレスラー”。10月21日にアントニオ猪木が「生前葬」と銘打った興行を両国国技館で行なったが、プロレスラーにとって引退試合とは“生前葬”のようなものなのかもしれない。
もしくは、プロレス人生という名の宴の“中締め”のようなものか。
なので、引退試合後もその選手がまだまだ見たいという方は、お時間の許すかぎり、どうぞごゆるりとお楽しみください。