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NZ戦で見えた“また試したい選手”。
小林祐のリズム、武藤と大迫の関係。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byTakuya Sugiyama
posted2017/10/07 11:30
長谷部の背番号だった「17」をつけてのプレーとなった小林。試合後、自身のプレーについて「評価しづらい」と控えめなコメント。
決勝点の起点となった乾の突破力、長友との連係。
ピッチの色合いを変えたのは、小林だけではない。
70分から3トップの左サイドに入った乾貴士は、攻撃に幅をもたらした。得意のドリブルで仕掛けつつ、長友佑都の攻め上がりを引き出した背番号14の登場により、ニュージーランドの5バックを横に広げることができるようになった。
87分の決勝ゴールも、乾のクロスがきっかけとなっている。右サイドでペナルティーエリアにまで入り込んだ酒井宏樹がヘディングで中央へ折り返し、ゴール前の倉田秋が頭でプッシュした得点は、高さと強さを持つ相手守備陣を揺さぶったファインゴールだった。
もっとも、最終予選のオーストラリア戦に先発した乾は、すでに一定の評価を得ているひとりだ。残り20分からの出場ならば、彼の突破力がより生かされるのもイメージしやすい。
左サイドにいながらもCFの要素を発揮した武藤。
ここで取り上げるべきは、乾に代わって退いた武藤嘉紀だろう。
4-2-3-1の2列目左サイドと、4-3-3の左ウイングでプレーした武藤は、'15年11月以来のスタメンだった。途中出場も昨年9月のタイ戦が最後だったから、1年以上ぶりの出場である。
彼の目の前に横たわる空白期間を考えると、この日のパフォーマンスは興味深い。
ハリルホジッチ監督がこれまで左サイドで起用してきた原口元気、乾、宇佐美貴史らは、ドリブル突破に特徴のあるタイプだ。センターフォワード(CF)の大迫勇也や岡崎慎司との関係性は、「パスを受ける側」になることが多い。大迫のポストプレーから原口にパスがわたり、カットインしてフィニッシュ、といったものである。
この日の武藤は違うのだ。
ハリルホジッチ監督の指示どおりにDFラインの背後を狙いつつ、武藤がボールをさばいて大迫へつなぐシーンも見られた。所属するマインツでのプレーを下敷きとして、CFの要素を発揮していたのである。