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ポルトガルサッカー、絶頂から衰退へ。
迷走する国内リーグで噴き出す諸問題。 

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ニコラス・ビラス

ニコラス・ビラスNicolas Vilas

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photograph byCarlos Costa/NurPhoto/AFP

posted2017/09/30 07:00

ポルトガルサッカー、絶頂から衰退へ。迷走する国内リーグで噴き出す諸問題。<Number Web> photograph by Carlos Costa/NurPhoto/AFP

今季もポルト、スポルティング、ベンフィカがリーグ開幕から上位を独占し続けているが……。

ほとんどのチームが“ビッグ3”に勝つ術を持たない。

 ビッグ3が主だった収入源を独占している状況で、他のクラブはスポンサー探しにも苦労し、チケット販売やマーチャンダイジングにも苦戦を強いられている。

 スタジアムが満員になるのはイーグルス(ベンフィカ)とライオンズ(スポルティング)、ドラゴンズ(ポルト)をホームに迎えたときだけで、他の試合では閑古鳥が鳴いている。当時、リオアベの監督を務めていたルイス・カストロはこう語る。

「ドイツやイングランド、スペインでは、スタジアムの大半を占めるのは地元のサポーターだ。ポルトガルは違う。ポルトガルサッカーの発展を真剣に議論するならば、そこを考えていかねばならない。ベンフィカ、ポルト、スポルティングは敬意を表するに値するクラブだが、彼ら以外の中小クラブが立ちゆく方法を見いだすことこそが重要だ」

 元代表監督のアントニオ・オリベイラも、『レコード』紙のなかでこう述べている。

「われわれのリーグは下降線を辿っている。ほとんどのチームは、ビッグ3から勝ち点を奪う術を持たない」

 しわ寄せは監督に向けられる。昨季のポルトガルリーグでは、実に19回も監督が代えられたのだった。冒頭にコメントしたマニュエル・マチャドもシーズン途中に2度解雇され、彼がクビを言い渡されたふたつのクラブ――ナシオナルとアルーカは、ともに2部に降格してしまった。

84年間で3クラブ以外に年間優勝したのは2クラブのみ。

 ポルトガル代表のEURO2016優勝と、キャプテンであるクリスティアーノ・ロナウドの4度目のバロンドール受賞は、ポルトガルサッカーの現実を何ら反映していない。

 今年で84年を数えるポルトガルリーグで、ベンフィカとスポルティング、ポルトのビッグ3以外に優勝リストに名前を刻んだのはベレネンセス(1946年)とボアビスタ(2001年)のみである。

 スーパーカップ、リーグカップを含めたすべてのタイトルでは、ビッグ3がおよそ90%を独占している。

 ポルトガルに7度の欧州カップをもたらしたのも、もちろんこの3つのクラブ(ベンフィカがチャンピオンズカップ2度、ポルトがチャンピオンズリーグ2度とUEFAカップ2度、スポルティングがカップウィナーズカップ1度)である。

 だが、彼らのヨーロッパでの成績も下がっている。

【次ページ】 欧州での地位低下、暴力行為、八百長疑惑……。

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