フランス・フットボール通信BACK NUMBER
ポルトガルサッカー、絶頂から衰退へ。
迷走する国内リーグで噴き出す諸問題。
posted2017/09/30 07:00
text by
ニコラス・ビラスNicolas Vilas
photograph by
Carlos Costa/NurPhoto/AFP
『フランス・フットボール』誌9月19日発売号は、オリンピック・マルセイユ(OM)を特集している。
OMはフランスでは特別な存在――フランス人の心のクラブであり、パリ・サンジェルマンやモナコには寄せることのない情熱と愛情を、人びとはOMに注いでいる。だからこそメディアも、成績の如何によらずOMを頻繁に取り上げる。
だが、ここで紹介するのは、昨年就任したフランク・マッコートオーナーのOM復活プロジェクトの検証でも、筆者(田村)による酒井宏樹インタビューでもない。OMとはまったく別の話題――ポルトガルリーグの現実である。
ベンフィカ、ポルト、スポルティングとそれ以外という二重構造のもとに、伝統的に成り立っていたポルトガルのサッカーが危機に直面しているという。いったいポルトガルで何が起こっているのか。ニコラス・ビラス記者がレポートする。
監修:田村修一
ユーロ王者にしてC・ロナウドの母国たるサッカー王国。
ポルトガルは現ヨーロッパチャンピオンであり、クリスティアーノ・ロナウドという2016年バロンドール受賞者を抱える国でもある。だが、ポルトガルのサッカーは深刻な危機に見舞われており、それはビッグ3(ベンフィカ、ポルト、スポルティング)にも深刻な打撃を与えている。
マニュエル・マチャドの名前は、ポルトガル以外ではほとんど知られていない。61歳のマチャドは、現在はモレイレンセの監督を務め、ポルトガルリーグで400試合以上を経験しているベテラン指導者である。
そのマチャドが、リーグ第3節(8月20日)に「ポルトガルサッカーに関わるすべての人々へ」という呼びかけをおこなった。
この日、彼の率いるモレイレンセはビッグ3のひとつであるポルトに0-3で敗れ、3強の残りのふたつ――ベンフィカとスポルティングは、ベレネンセスとギマラエスからそれぞれ5得点をあげて快勝したのだった。
試合後にマチャドはこう警鐘を鳴らした。
「もしもこのまま(ビッグ3と他のクラブの)不均衡が続くようなら、そう遠くない将来にポルトガルサッカーは壊滅する。今日のような結果が繰り返されることに何のメリットもない。他のクラブは、ビッグ3の引き立て役でしかないからだ」