フランス・フットボール通信BACK NUMBER
ポルトガルサッカー、絶頂から衰退へ。
迷走する国内リーグで噴き出す諸問題。
text by
ニコラス・ビラスNicolas Vilas
photograph byCarlos Costa/NurPhoto/AFP
posted2017/09/30 07:00
今季もポルト、スポルティング、ベンフィカがリーグ開幕から上位を独占し続けているが……。
リーグ改革を中小クラブが行えるわけがない。
近隣諸国のリーグが移籍金の収入記録を更新するなか、ポルトガルだけは節制と禁欲を強いられたのだった。この夏のリーグの移籍金総額は6000万ユーロ弱であった。だがそのほぼ90%がビッグ3によるもので、3クラブへの依存度がこれほどまでに高まったことはいまだかつてない。
ビッグ3とその他クラブどちらの事情も良く知る監督のアウグスト・イナシオは、『オ・ジョゴ』紙の中でこう述べている。
「リーガの中で決定を下す際にも、いったい誰が利益をもたらすのか。選手を貸してくれるクラブに対して、他のクラブは反対票を決して投じない」
移籍市場の締め切り時点で、ベンフィカとポルト、スポルティングは、他のクラブに26人の選手をレンタルで貸し出し、逆に貸し出されたのは5人のみであった。
「中小クラブの会長たちは肝っ玉が小さい」とイナシオは糾弾する。
「彼らはビッグクラブの庇護に浸りきっており、ビッグクラブの機嫌を損なうのを極度に恐れている」
「このままではポルトガルリーグは死んでしまう」
テレビ放映権の配分が、不公平をさらに加速化している。ポルトガルでは放映権の契約はすべてがそれぞれのクラブの裁量に任されて、第三者はまったく関与しない。その結果、ビッグ3が全放映権のおよそ3分の2を独占している。お隣りリーガ・エスパニョーラの会長で、リーガのテレビ放映権再分配に腐心したハビエル・テバスも、ポルトガルの状況を憂慮している。
「このままではポルトガルリーグは死んでしまう。スポーツの面ではなく、経済の面から窒息するだろう」
2015年夏にリーグ会長に就任したペドロ・プロエンサも、クラブ間利益の再分配を最優先課題として取り組んだ。
だが彼の試みは、個別に放映契約を結ぶビッグクラブの激しい抵抗にあい、あえなく挫折した。その翌年の2部リーグとの一括契約の試みも失敗に終わった。ある放送局と合意に達し、複数クラブの会長と直接話し合いをしていたにもかかわらず、最終的な合意は得られなかったのだった。