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サイバーエージェントが全株式取得!
藤田晋社長から見たDDTの魅力とは? 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byNorihiro Hashimoto

posted2017/09/27 08:00

サイバーエージェントが全株式取得!藤田晋社長から見たDDTの魅力とは?<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

高木“大社長”とガッチリと握手をした藤田社長。AbemaTVの人気番組になれるか?

村社会から出るパスポートを得たDDT。

 興味深いのは、藤田社長がリング上の挨拶で「この話をもらった時、正直、私はプロレスが大好きとか詳しいというわけではなかったんですけども」と言っていること。

 これまで、タレントやスポンサー、関係者筋がゲストとしてファンに挨拶する時、いかに自分がプロレス好きかをアピールしようとして、逆にその“浅さ”を見透かされてしまうことも多かった。

 1973年生まれの藤田社長なら「馬場・猪木の時代から好きで」、「子供の頃はタイガーマスクに夢中でした」くらいのことなら言えたと思うのだが、そんな付け焼刃のコメントを選択しなかったところに賢明さを感じた。〈経営に関してはプロだがプロレスファンとしては初心者、でも路上プロレスや“煽りパワーポイント”には可能性を見出している〉というスタンスといえばいいだろうか。

 とはいえ「金は出すが口は出さない。赤字はいくらでも補填する」というスポンサー、タニマチの類とは違うわけで、あくまでグループ企業として、DDTが経営に関してよりシビアになっていく可能性もある。サイバーエージェントとDDTが描くビジネスの方向性が食い違い、すり合わせに時間がかかることだって今後はあるだろう。

 それは会社なら、仕事なら当たり前のことだ。「大企業と組むなんてやめときゃいいのに。いろんなことがめんどくさくなるだけですよ」と言っていた記者もいるのだが、それでいいのである。

 DDTが今すぐ大ブレイクするというわけではないだろう。ただ“めんどくさくない”かわりにそう広くはない村社会から出るためのパスポートを手に入れたことは間違いない。

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