野球善哉BACK NUMBER
菊池雄星、大阪桐蔭、日本ハム……。
成長し続けるには「日誌」が有効?
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byHideki Sugiyama
posted2017/09/24 11:30
プロに入ってからも成長が止まらないのが、大阪桐蔭出身選手の特徴。その理由の1つに日誌があるのかもしれない。
日々の練習から感じ取れる情報の量が増えてくる。
「日誌の充実度によって目に見えて選手の意識は変わっていきます。文章が長ければいいというわけではありませんが、3行くらいだったのが10行になり、20行、1カ月後にはノート1ページを埋め尽くすくらいになる。日誌が成長してきたら、取り組む姿勢が変わってくると僕は思います。自分で考えることができる選手は、練習をどういう意識で取り組むべきなのかが明確になっているんですよ」
日誌の心がけは、必ずグラウンドでの行動に表れる。
例えば大阪桐蔭では、アップやダウンの際、全体アップとともに個人アップという自由時間を与えている。日によって体調には必ず違いがあるので、それを個々で考えさせるためだ。日ごろから考える癖がついている選手は自分に必要な調整を見つけられるが、そうでない選手はダラダラと時間を過ごしてしまう。ただ、この自由時間は入口で、チーム練習の中でも選手の意識によって如実に差が出てくるの。
「自学自習できない人は、やらされているだけ」
大阪桐蔭は、個別指導を重視している。
大会前はチーム練習に重点を置くが、そうでない期間の技術練習は選手によって取り組みが異なる。しかし、自身の課題が整理できない状態で練習をしても無為に時間を過ごすことになり、成長のスピードは緩む。
一方、日誌の行数が増えていく選手は、練習の中で感じとることが多くなり、技術面の疑問を指導者にぶつける選手も登場する。両者で、毎日の充実感は全く異なることだろう。
西谷監督は言う。
「勉強も同じではないでしょうか。授業を受けた後に自学自習をして、次の授業に向かうことができるか。教室で教えてもらったことをどう持ち帰って自分で勉強するかというのは、野球で言えば、グラウンドで練習したものを寮や家に帰ってどう自分の中で整理して、次の日につなげるかだと思うんです。野球でも自学自習ができない人というのは、いつまでもやらされているだけになるので、高校3年間に限らず、その先の世界へ行っても苦労すると思います」