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日本男子バレー“二刀流”の得点源。
出耒田敬が突如頭角を現した理由。
posted2017/09/11 07:00
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
Takahisa Hirano/AFLO
9月12日、「ワールドグランドチャンピオンズカップ2017」男子大会が開幕する。
7月に行われた世界選手権アジア最終予選は4戦全勝で出場権を獲得。続くアジア選手権は2大会連続、9回目の優勝で幕を閉じた全日本男子バレーボールチーム。柳田将洋、石川祐希の両エースはもちろんだが、好成績を残した原動力となったのがオポジットと呼ばれるポジションを務める、出耒田敬(できた・たかし)の活躍だ。
世界選手権アジア最終予選では、当初は控えだったものの、この大会で最大の山場といえるオーストラリア戦でスターティングメンバーとしてコートに立ち、出場権の獲得に貢献。アジア選手権では全試合に先発出場し、決勝のカザフスタン戦では石川に次ぐチーム2位の11得点を挙げた。
昨年のリオデジャネイロ・オリンピック世界最終予選を見ていた人であれば気づくだろうが、出耒田の本来のポジションはミドルブロッカーである。今年6月のワールドリーグまでは、ミドルブロッカーとして試合に出場していた。そんな出耒田にポジションの変更を勧めたのは今年度から全日本のコーチに就任したフィリップ・ブランだった。
当時はオプションの1つとして、ぐらいの気持ち。
「ワールドリーグが終わって、世界選手権が始まるまでの合宿のときにブランさんから言われました。ワールドリーグの終盤から、ワンポイントブロッカーで試合に出る機会が多かったんですが、コーチから『ワンポイントではなく2枚替えで、前衛の3つのローテーションで出場したほうがいい。サイドもやらないか?』と……。『はい、わかりました』と答えて、その日の午後からサイドから攻撃する練習をスタートしました」(出耒田)
当面はセッターが前衛に回ってきた際に、ブロック力のある出耒田と交代させ、守備を固めることが目的だった。しかし当時、合宿に参加していたオポジットが大竹壱青のみだったこともあり、そのままサイドで練習を重ねるようになる。
「そんなにガッツリと練習したわけではないんですけど、そのころは、あくまでオプションの1つとして、できればいいなぁという感じでした」