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日本男子バレー“二刀流”の得点源。
出耒田敬が突如頭角を現した理由。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byTakahisa Hirano/AFLO
posted2017/09/11 07:00
身長200cmの出来田。本来はミドルブロッカーながら、最近はオポジットでの活躍が目覚ましい。
清水邦広の後継者選びは深刻な課題だった。
しかし、世界選手権アジア最終予選での途中出場からチャンスをつかみ、アジア選手権ではスターティングメンバーで起用されるようになる。
全日本には長年、清水邦広というオポジットのレギュラーがいた。しかし今年度は、故障により国際大会への出場を見合わせている。V・プレミアリーグのチームは外国人選手をオポジットに据えるケースが多く、日本人オポジットを起用するチームは清水の在籍するパナソニック・パンサーズを含めた3チームだけである(2016/2017リーグ時)。
全日本におけるオポジットの人材不足はかねてから叫ばれていたが、なかなか育成が進まず、清水の後継者選びは全日本が抱える深刻な課題だった。
そんなとき、突如として現れたのが出耒田である。
最高到達点345cmの出耒田をどこで使う?
出耒田は堺ブレイザーズでもミドルブロッカー登録だが、アンダーカテゴリーの試合ではオポジットとして数々の国際舞台を経験してきた。バレーボールを始めた中学時代から、所属チームではミドルブロッカー、選抜や代表の試合ではオポジットとポジションを変えて試合に出場している。2013年に行われたユニバーシアード大会にはオポジットで出場し、銅メダルを獲得した実績もある。
堺でも入団当初、どちらのポジションに固定するかが協議の対象となった。オポジットにはすでに外国人選手がいたため、出耒田の345cmという最高到達点と、得点力は当時、堺を率いていた酒井新悟監督(現久光製薬監督)を大いに迷わせたが、チーム編成を考慮してミドルブロッカーを選択した経緯があった。
ロンドン・オリンピックの金メダリスト、ロシア代表のドミトリー・ムセルスキーのように、オポジットとミドルブロッカーを兼任する選手は海外には存在する。ただし、日本の場合、育成段階でいくつかのポジションを経験することはあっても、トップリーグに進んでからも複数のポジションを兼任する選手は稀だ。