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ハリルを支えるスタッフ6人に聞く。
皆さんの担当業務って、何ですか?
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTomoki Momozono
posted2017/09/06 11:30
アウェーのUAE戦で本田に指示を与えるハリルホジッチ監督。その後ろでは手倉森コーチもピッチ全体に気を配っていた。
監督は一見怖い感じのイメージですが、実際は……。
浜野 征哉(GKコーチ)
YUKIYA HAMANO / GOALKEEPER COACH
1972年9月28日、神奈川県生まれ。ヤマハ発動機、アルビレオ新潟などでプレー。'00年から指導者に。FC東京のGKコーチを長く務める。'12年から各年代日本代表GKコーチ、'14年よりA代表。
私の仕事のメーンはルガ(ルグシッチ)のサポートです。相手のスカウティングではチームの特徴をGKに伝えるばかりでなく、相手GKの情報を、自分の意見を添えてチームに渡します。
チェックする試合は10試合以上になります。その中で気になる試合は2度、3度と見直します。何度か見ることによって気づかなかった新しい発見が出てきます。
週に1度のテクニカルミーティングでは、監督から「どうなんだ?」と聞かれることに対してすべて答えなければなりません。どんな細かい情報でも持っておくと同時に、「その映像はあるのか?」と聞かれたら「あるのですぐに見てください」と答えられるようにしています。
ルガと私はとにかくよくコミュニケーションを取っています。1人の選手を見る上でも、2人の目線で見たほうがより正確ですから。
日本人のコーチだからこそできることもあります。選手と細かいニュアンスまで確認することもあれば、雑談でリラックスさせることもあります。
監督は一見、怖い感じのイメージですが、実際にはそんなことはありません。私の意見が採用されなくとも、頭の片隅に残してくれているのもよく分かります。監督とスタッフの結束は強いと感じています。
長距離移動を強いられる海外組の疲労回復を。
シリル・モワンヌ(フィジカルコーチ)
CYRIL MOINE / CONDITIONING COACH
1972年1月2日、フランス生まれ。'92年からフィジオとしてフランスの様々なクラブで働く。'02年にレンヌでハリル監督と出会う。'11年のアルジェリア代表からハリル監督と行動を共にする。
私は、ヴァイッドがレンヌで監督を務めた2002年から一緒に仕事をさせてもらっています。パリSG、アルジェリア代表、トラブゾンスポルと時間の経過とともにヴァイッドからの要求、私の役割も変わってきました。
合宿ではフィジカルエクササイズ、テクニカルエクササイズをどうするかを私が意見し、最終的にはヴァイッドが決めることになります。
日本代表は海外でプレーする選手が多く、長距離移動による疲労、時差の問題が出てくるため、合宿の最初は疲労回復トレーニングをたくさんやります。できるだけ早く睡眠を取れるようにし、昼寝の時間も設けます。フィジカルトレーニング、テクニカルトレーニングは相当軽いものにして、段々と上げていく形です。
2連戦の場合、1試合目からアジャストするのは難しい。その意味で3月の1戦目、UAE戦は素晴らしかった。リベンジに対する思いも強く、練習のクオリティがパーフェクトでした。日本人選手はグラウンド上のみならず、グラウンド外でも一生懸命やってくれます。疲労回復、ストレッチ、栄養補給もしっかりやってくれるのでフィジカルのクオリティが上がるのです。