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ハリルを支えるスタッフ6人に聞く。
皆さんの担当業務って、何ですか?
posted2017/09/06 11:30
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Tomoki Momozono
その準備はいかになされているのか?
完璧主義者たる監督を支える、6人のコーチ陣の仕事ぶりに迫った。
Number928号(2017年6月1日発売)から全文掲載します!
完璧な準備――。
ヴァイッド・ハリルホジッチがよく口にするワードである。
「私はすべてをプログラムして、すべてをオーガナイズしてやっていく。選手が我々のところに来たときには、準備してきたものをやってもらって向上させるだけだ」
東京・本郷にあるJFAハウスには、ハリルホジッチ専用の監督室が用意されている。ホワイトボードには選手名や、出場予定の試合スケジュールが書き込まれ、大型テレビには試合が流れている。
その監督室の隣に、コーチングスタッフ専用の部屋がある。ここが「完璧な準備」の最前線基地となっている。
メンバーは6人。コーチにジャッキー・ボヌベー、リオ五輪代表監督を務めた手倉森誠、GKコーチにエンヴェル・ルグシッチ、浜野征哉、フィジカルコーチにシリル・モワンヌ、コンディショニングコーチに早川直樹という陣容だ。
監督はじめスタッフはほぼ毎日と言っていいほど協会に通い詰め“準備漬け”となる。選手選考、データと情報の収集、分析、トレーニングの構築、コンディション対策など抜かりなく用意していく。
“6人の腹心”全員に、準備の全貌を語ってもらった――。
選手選考のために、1週間で10試合以上は見る。
ジャッキー・ボヌベー(コーチ)
JACKY BONNEVAY / COACH
1961年6月1日、フランス生まれ。ソショー、マルセイユなどでプレーし、'94年から指導者。ボーヴェ、トロワ、アンジェなどで監督を歴任する。'14年、トラブゾンスポルからハリル監督と行動を共にする。
私とヴァイッドは古くからの付き合い。彼はフランスでの監督キャリアを2部ボーヴェからスタートさせたが、私ものちにボーヴェを指揮している。多くの共通項があり、彼の多くを理解しているつもりだ。
コーチの仕事とは、監督をアシストすることだ。
選手選考のために、1週間で10試合以上は見ることになる。チェックするのは第一に代表のクオリティがあるかどうか。その選手がリストに挙がってくれば、今度は継続的に見ていくことになる。試合ごとにブルー、グリーン、オレンジ、イエロー、レッドと5段階で評価する。一番上がブルー。1、2、3カ月と見ていけば、その選手の調子の波が大体把握できる。
「見る」だけでなく選手とコミュニケーションを取る。たとえば昨日は吉田麻也と話をした。サウサンプトンのフランス人監督クロード・ピュエルにも彼の調子を聞いた。またドイツで残留争いの渦中にあった酒井高徳に対しては、勇気づけるようなテキストメールを送った。私は主に欧州にいる選手たちとコンタクトを取り、実際に試合を観てうまくいってないと感じたときにはすぐに連絡を入れるようにしている。