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ハリルを支えるスタッフ6人に聞く。
皆さんの担当業務って、何ですか?
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTomoki Momozono
posted2017/09/06 11:30
アウェーのUAE戦で本田に指示を与えるハリルホジッチ監督。その後ろでは手倉森コーチもピッチ全体に気を配っていた。
フィジカルのみならずテクニカルな分析も。
私はフィジカルのみならず、トレーニング全般にかかわります。テクニカル、戦術にも協力します。また、相手や自分たちのテクニカルな分析、戦術やフィジカルに関するデータ収集などヴァイッドからは多くの仕事を要求されています。
たとえば対戦国の分析で言えば、ジャッキーが用意してくれた映像を確認します。試合の前日までには相手のやり方、スタメンも大体把握できていて、我々が間違えることはほぼありません。合宿でも選手個々に「あの選手はこう来る」「こういう守り方だからこう攻めればいい」などと伝えます。
私はヴァイッドとずっと一緒に過ごしてきたため、彼の考え方は完璧に把握しているつもりです。ヴァイッドは言います。「すべてを前もって把握するべきだ」と。だからこそ事前の準備が大切なのです。
日光を浴びるタイミングを含めた時差対策研究。
早川 直樹(コンディショニングコーチ)
NAOKI HAYAKAWA / CONDITIONING COACH
1963年3月9日、東京都生まれ。'89年から日本女子代表トレーナーを務める。以降、ガンバ大阪、ジェフ市原などのトレーナーを歴任し、'99年から日本代表のトレーナー、コーチを務める。
今は、メディカルスタッフと一緒に新たな時差対策に取り組んでいます。移動前の生活のリズムや飛行機での過ごし方を取りまとめ、海外でプレーする選手に伝えています。
時差の影響は、西向きの移動よりも東向きの移動の方が影響が大きいことが研究で明らかになっています。つまり3月のアウェーのUAE、ホームのタイとの連戦では、UAEから日本への移動時の時差対策がポイントになりました。
移動時の飛行機内では、できるだけ寝ないほうが良い。その他食事のタイミング、日本到着後の日光を浴びるタイミング、浴びないタイミングにも注意を払いました。パフォーマンスにどうつながったか測ることはできませんが、選手の反応は概ね良く、時差の影響が少なくなったと感じたようでした。
監督からは時差の取り組みを含め、コンディショニングに関する色々な提案をするように言われています。実際は10個ぐらいの提案をして、ひとつ、ふたつを採用してもらっています。
ハリルホジッチ監督は、毎日JFAハウスに出勤しています。スタッフは頻繁に監督室に呼ばれて、チームの課題、問題点について熱い議論を交わします。
監督はスタッフからの意見や提案を好むので、多くの議論を通して監督の考え方をよく理解しておくようにということだと思います。