球体とリズムBACK NUMBER
オーストラリアは空中戦を卒業済み。
名監督が起こした「革命」の濃密さ。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byAFLO
posted2017/08/30 11:30
デゲネクはコンフェデ戦のドイツ戦でもプレーした。世界の強豪と対戦し続けた現アジア王者の実力は、侮るなど言っていられないレベルである。
フィットネス管理も超先進的であるのも見逃せない。
また、オーストラリアはスポーツ科学の先進国でもある。有能なフィットネスコーチは世界のスポーツ界のトップレベルで仕事を任されており、例えばアーセナルも今季に新設した“ハイパフォーマンス部門”の責任者としてオーストラリア人の第一人者を招聘している(正式就任は11月)。
「代表のフィットネス管理は細部に至る」とマッキンタイア氏。
「これは個人的な意見だけど、コンフェデの3戦目にベストゲームを披露できたのは、コンディショニングによるところが大きいと思う。おそらくより先に勝ち進めると信じて、ピークを後ろに持っていくようにしたのではないかな」
そのポジティブな姿勢も、彼らの強みだ。「僕らは何かをするとき、前向きに考え、完全に自分たちを信じる。それが国民性なんだ。移民の国のフロンティア精神と言い換えられるかもしれない」と彼は続けた。
クロップ、ペップに通じるポゼッションとハイプレス。
あらためてチリ戦を見返すと、ポゼッションだけでなく、組織的なハイプレスも印象的だった。ユルゲン・クロップやペップ・グアルディオラのチームにも通じるところがあるといえば、言い過ぎだろうか。
優れた指揮官が最新の戦術を植え付け、選手たちはコーチ陣とともに最高のフィットネスを整え、自信を持ってピッチにすべてを出し尽くす。その先にある「革命」の成就を心から信じて。
昨年10月の日本戦の後、彼らはブラジル、ドイツ、カメルーン、チリと手を合わせてきた。おそらく、いやきっと、今の彼らはあの頃よりも強い。
進化を遂げるサッカールーズが、日本代表の前に立ちはだかる。