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日本代表、最大の危機を乗り越える。
「アブダビの夜」で宮本恒は何をした?
posted2017/08/28 14:30
text by
高橋夏樹(Number編集部)Natsuki Takahashi
photograph by
Hirofumi Kamaya
あの頃のサッカー日本代表の人気はすごかった。ジーコジャパン当時のバックナンバーをめくっていると、つくづくそう思う。もちろん今の代表とて「日本で最も人気のあるスポーツチーム」なのだが、2005年の熱狂、批判、ついでにNumberの部数はやっぱりすごかった。
そんな人気チームを率いて、W杯出場が至上命令、むしろ当然のミッションのような空気の中で予選を戦ったキャプテン、宮本恒靖さんはどれほどの重圧を感じていたのか。そして今、勝てば自力でW杯決定、負ければプレーオフの可能性もあるという、乾坤一擲の勝負に挑む代表にどんな言葉をかけてくれるだろうか。
そんな思いで取材を依頼した。
伝説となった、あの「アブダビの夜」。
現在ガンバ大阪U-23の監督を務め、ボスニアに開校したスポーツアカデミーの子どもたちが来日中ということもあって多忙な中、宮本さんは約束の時間よりも早くホテルに来てくれた。
「やっぱりアブダビでキャンプを張った、最終予選第4戦のアウェーのバーレーン戦ですかね」
もっともプレッシャーを感じた試合、という問いに彼はすぐさまそう応じた。今や伝説のように語り継がれる選手ミーティングが行われた「アブダビの夜」。
そこまで最終予選2勝1敗ではあったが試合内容はもうひとつ、さらに直前のキリンカップでペルー、UAEに連敗した代表は迷走しかけていた。
「自分たちも調子が良くないと感じていました。紅白戦をやってもAチームのほうはバラバラ感があったし。これは一度みんなで集まって話をしたほうがいいと感じました」