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アギーレ前監督が語るハリル体制。
「W杯出場権獲得は当然だろうね」
posted2017/08/30 07:00
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph by
Toru Morimoto
知悉するUAEとの戦いに彼が見た可能性とは?
最終予選を前にNumber928号(2017年6月1日発売)の特集を全文掲載します!
日本代表は着実に成長している。
3月のワールドカップ予選の試合を見て、私は確信した。
この5月まで、私はUAEのアル・ワフダで監督をしていたから、UAE代表については熟知している。代表チームには私のチームの選手もいたし、この国のサッカーは急成長を見せている。それは昨年9月のワールドカップ予選で日本に勝ったことからもお分かりだと思う。
しかし日本は力の差を見せつけた。個々の技術、チーム戦術、それぞれの選手の所属クラブでの経験値を考えても、日本はUAEを大きく上回っている。アジアの中でも1、2を争うレベルだろう。日本の選手達が躍動する姿は、個人的にも嬉しかった。
UAE戦前にわざわざ連絡をくれた吉田麻也。
UAEとの試合は、本当は現場のアルアインまで見に行こうと考えていた。しかしアル・ワフダの練習スケジュールが合わず、結局断念せざるをえなかったのは残念だった。久しぶりに日本代表の試合を生で見られる機会だったし、選手たちともいろいろと話がしたかった。吉田麻也はわざわざ私に連絡してくれて、チケットを準備するからぜひ見に来てくださいとまで言ってくれたんだ。他の何人かの選手もこれまでにコンタクトを取ってくれた。
過去の監督に対して、このような対応を見せてくれる選手など、なかなかいないものだ。しかも私の場合は途中で代表監督を退いたわけだから、日本代表を率いていたのは実質的には半年と少しだ。それにもかかわらず、良好な関係を保てているという事実は、ひとりの指導者として光栄なこと。選手と監督としてだけでなく、人間としても関係を築けたことは大きな喜びだ。
3月の日本代表の2連戦を見ても、チームの中心となっているのは、私が率いていた頃に代表にいた選手たちだった。それに加えて、久保裕也らの若手が入り、チームは活性化している。ワールドカップが1年後ということを考えると、理想的なバランスになっていると思う。