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清宮幸太郎のプレースキックの記憶。
父・克幸「衝撃を最大化するセンス」 

text by

生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph byYuki Suenaga

posted2017/08/13 09:00

清宮幸太郎のプレースキックの記憶。父・克幸「衝撃を最大化するセンス」<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

高校通算本塁打107本は、史上最多タイ。フルスイングではないように見えても大飛球が飛ぶのは清宮ならではだ。

「幸太郎にはその力が子どもの時からあった」

「野球でもラグビーでも、球に伝える力が強ければ強いほど、遠くに飛ぶし、飛び出しも速くなる。誰もが知っていることだけど、簡単には出来ない。ラグビーのプレースキックも、自分が生み出した力をうまく足を通じて伝えられるから飛距離が出る。たぶん、その時も全力では蹴っていないでしょう。ボールのどの部分を、どんな角度で、どんな力を入れればいいのか、自然と分かっていたんじゃないかな」

 衝撃の最大化は、なかなか教えられるものではない。

「体重や動きの中で生まれた『力』をどうボールに伝えるのか。ラグビー、野球ともボールと接する時間は本当にわずかだし、それを教えるのはなかなか難しいですよ。ただ、幸太郎にはその力が子どもの時からあった」

 幼い頃から、いろいろなスポーツに親しんできたことが魅力的なスラッガーへと成長する要因になったのかもしれない。

木のバットに持ち替えても、すぐに対応できそうだ。

 来季からは、大学進学にせよプロに進むにせよ、木製バットを手にすることになる。

 バットが変わると、衝撃の与え方にも微妙な違いが生まれるといわれているが、バットの芯、スイートスポットで捉えるセンスが失われることはないと思う。きっと、調整能力も高いだろうから、早晩、鋭い打球を飛ばすようになるだろう。

 夏の甲子園で好投手との対戦が見たかった、というのが本音だが、向こう20年にわたって野球界を楽しませてくれるに違いない人材だから、長い目で選手としての成長を見守っていきたい。

 それにしても、あのプレースキックは見事だったなあ……。

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